さんぽのおとも

きむらばく

冷やし中華、はじめてません。


「歩くことは、生きること。」


今、私は前に進んでいるのだろうか。

それとも後ろに進んでいるのだろうか。


ーー少なくとも、

     止まってはいないはずだ。



---



引用:

   "男もすなる日記といふものを、

   女もしてみむとてするなり"


現代語訳:

   男が書く日記というものを、

   女もしてみようと思って書くのである



こんな出だしから始まるのは『土佐日記』

学生時代を思い出す、懐かしい言葉だ。


さて、この土佐日記だが、

女性目線での作品であるが、じつは作者の紀貫之きのつらゆきは男性である。


学生時代などはそれなりに真面目に勉強をしてきたつもりだったのだが、こんなくだらない知識ばかり残っているのが不思議で仕方がない。

ただでさえ小さい私の脳みそは、何割がこれらくだらない内容に容量を取られているのだろうか。

あまりに恐ろしく、残酷な真実に直面する可能性がありこの話題は危険すぎるため、

ここで早々に切り上げることとしよう。



さて、本題に入る。



土佐日記の出だしのごとく、私もふと思い立ったのである。


 "人々が行っている高尚な趣味みんなやってるしなんか面白そうだし

  日記といふものを気軽な創作活動

  我もしてみむとてするなりあたしもはじめてみよっかな"


なぜこんな事を思い立ってしまったのか。

ここ数日は天気もよく暖かかった。

暖かい春の陽気にのまれ、

少々気でも触れてしまったのかもしれない。


酒は飲んでも飲まれるな。

春ものんでものまれるな、だ。


春になると徐々に現れる不審者たち、

あれは春にのまれたやつらだと思う。

十中八九間違いないだろう。



さて、この「私」という人間についてだが、

どうやら長文を書く才能がめっぽうないらしい。

それはこれまでの人生で学んでいる。


「Twitterの140字くらいが丁度いい」

「短く端的に物事を伝える力こそ至高」

などと普段のたまっている様だが、

本心ではそれが丁度いいとも至高とも思っていない。


ただただ140字が限界なのである。

見栄っ張りでちっぽけな人間だ。



…さて、そろそろ140字を超えた頃だろうか。


初投稿にしては、なかなかいいぞ。

ただし、今回の内容を要約すると以下の通りだ。


「日記はじめます」


7文字に収まってしまう。

実はたった7文字しかない内容を、長ったらしくだらだらと話している。


「冷やし中華はじめました」


このフレーズですら11文字もあるというのに。


私は今、冷やし中華に対する

ほんのりとした敗北感に唇を噛んでいる。



この話がフィクションであるか、ノンフィクションであるかのご判断は、読者の皆様のご想像にお任せすることとしよう。

それは至極どうでもよいことなのだ。



さて、春にのまれた私は

学生時代に知ったとある言葉を思い出した。


「人は誰でも、一冊の本が書けるらしい」


友人から聞いたのだったか、映画の台詞か、

はたまた小説の一文だったのかもしれない。


今となってはどこで聞いたのかも思い出せないこの言葉だが、なぜか長年この頭にこびりついて離れてくれないのだった。



なのでこれは私の人生の一冊であり、

あまりにもくだらない散歩の日記である。



日記、はじめます。

冷やし中華は、はじめてません。


---4月某日

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