別学魔法少女☆ジョシコールナ

第３話 驚愕！ 四天王キョーガクイーン！！

「うふふ。かつてのＣＥ四天王の名が泣くわね、シャドウちゃん」

　上空で生じた爆炎が収まると、そこには不敵に笑う美しい女性の姿があった。

「あ、あなたはキョーガクイーン！」

「何ですって！？」

　キョーガクイーンと呼ばれた美女はそのまま落下するようにして着地すると私を直視した。

　紫色の鎧をまとい妖艶なオーラをまとう美女に、私は底知れない恐怖を感じた。

「私たちの邪魔をし続けてきた小娘というのは、あなたのことかしら？」

「そちらから見れば、そうなのでしょう？」

　強気の素振りで言い返すが、キョーガクイーンの迫力の前に私の足はすくみ始めていた。

「年の頃はハイティーンといった所かしら？　その年齢で魔法少女を名乗るなんて若い子はいいわねえ」

（き、気にしてることを……）

　外見は２０代後半ぐらいの美女にそう言い放たれ顔を赤くしつつも、私は必死でステッキを突きつけた。

「クイーンだか何だか知らないけれど、共学化は許さない！」

　ステッキの先から再び放たれたホーミング・ヘリックスブレイカーがキョーガクイーンに向けて伸びていく。

「あら、何のお遊びかしら？」

　キョーガクイーンはそう呟くと不可視の防壁を展開した。

　光の螺旋は速度を増す前に防壁に吸収され、私は必殺技がいとも容易く無効化されたことに驚愕した。

「そんな……」

「驚愕（きょうがく）しているようね。それで共学化に反対するなんて笑ってしまうわね」

「素晴らしい洒落です、キョーガクイーン様！　それでこそ我らが」

　お世辞を言い終わる前にシャドウキョーガクは謎の炎に包まれ、そのまま消滅した。

「プロジェクトＣＥに、下品な男は不要よ」

　瞬時に火炎を生じさせる呪文は魔力の消費が激しいため、キョーガクイーンは少し息を切らしていた。

「あの、それでこそ我らがってことはあなたもやっぱりダジャレ好きなの？」

「……小賢しい小娘ね。私をここまで怒らせたのはあなたが初めてよ」

　何故か突然怒りのオーラを発するとキョーガクイーンは右腕を振り上げて叫んだ。

「凍てつく刃、ブリザード・ダガー！」

　召喚された氷の短剣が凄まじいスピードで飛来し、私は慌てて回避しようとした。

　しかしマジックスーツの肩部の飾りがナイフに捉えられ、私の身体はそのまま高速で引きずられていった。

　身体が校舎の壁に激突し、痛みの声を上げる間もなく私の上半身は壁面に釘付けにされてしまった。

「どうかしら？　動けないまま、死の時を待つ気分は」

「氷の刃って、やっぱり寒いギャグだから……？」

「お別れの時間ね」

　キョーガクイーンは顔を引きつらせると大量のブリザード・ダガーを私に向けて放った。

　私は必死でステッキを振り回して氷の刃を弾いたが、何本かは身体をかすめ全身に激痛が走る。

「まだ……私は、負けられない」

　そう呟いてステッキを突きつけるが、恐怖にすくんだ私にはもはや魔力は残されていなかった。

「あら、しぶとい小娘だこと」

　嘲笑しつつキョーガクイーンは私に近づいてくる。

「最後に聞いてあげるわ。あなたがそうまでして女子校を守りたいのは、なぜなのかしら？」

　キョーガクイーンは動けない私の顎を左手で持ち上げ、冷酷なまなざしを向けて尋ねた。

　最期の時を覚悟し、私は口を開いた。

「それは……」

「それは？」

「あなたのような女性が、本当に自由に過ごせる環境を守りたいからよ」

「っ……！」

　目を見開いて硬直したキョーガクイーンには、一瞬の隙が生じていた。