第15話 変な夢

 深い闇が広がっている。


 なんだここは?

 俺はどこにいるんだ?


「タイドー…… タイドー……」


 ん?

 なんだこの声は?


 聞き覚えのない声だな。


 俺は声のした方を向いてみた。


 そこには淡く光る、人間の足のようなものが生えた、お祭りの時に使用されるような形の屋台が三台走っていた。


 なんだあれは?


「タイドーッ! タイドーッ!!」


 えっ!?

 あいつらものすごい速さで、俺の方に向かって来るぞ!?


 おい、止まれ!?

 衝突するって!?


 う、うわあああああああああああああああっ!!!!!!



「神聖なるモチョモチョ筋肉、どうかしたでございますか!?」


 天使ゼダジカ・カカツーヴの声が聞こえてきた。


「えっ? あれ? ここは?」


「ここは神聖なるモチョモチョ筋肉の部屋でございますよ」


「えっ、あ、ああ、そうだな……」


「うなされていたでございますよ。どうしたのでございますか?」


「あ、ああ、ちょっと変な夢を見ただけだ。問題ないよ」


「そうでございますか」


「心配かけてすまないな」


「いえ、このくらい構わないでございますよ」


 なんだったんだ、あの夢は?


 意味が分からんな。


 まあ、いいか、夢なんて。


 それよりも、問題なのは、まだこの場所にいるということだよな。


 残念ながら、まだ俺はダァンサービオのままのようだ。


 こっちは夢じゃなかったのか……


 夢であって欲しかった……



 ん?

 今の俺がこうなっているということは、地球では本物のダァンサービオ君が、繰栄くりえい多一たいちの体を使っているのかな?


 どうなんだろうな?


 もしそうなら、大丈夫なのかな?


 まあ、そんなことを考えても、何もできないから意味ないけどな。



「人間国宝鉄人覇者、起きたざ~すか!?」


 妖魔ジローゲヨ・ギャケーエがそう言った。


「ああ、おはよう、ジローゲヨ。何か用か?」


「なんか不快な感じがするざ~す!」


「えっ? なんでだ?」


「これは、かなりの量のアレがたまっているざ~す!!」


「アレ?」


「人間から出る水ざ~す!」


「ああ、それか! すぐ出して来る!!」


 ジローゲヨは膀胱ぼうこうの影響も受けるのか。


 大変だなぁ。


 俺はトイレに向かった。



 トイレから出た。


「ああ、今日もジローちゃんは悲惨な目に遭うのざ~すか?」


「うっ、そんなことを言われても、食べたら出るからなぁ」


「食べなければ出ないのではないざ~すか?」


「そういうわけにもいかないんだよ」


「そうざ~すか。なら、なんとか封印を解くざ~す」


「解き方が分からないから無理だ」


「なら、さっさと解く方法を探すざ~す!」


「やってはみるよ」


「大至急、頼むざ~す!」


「そんなこと言われても、手掛かりがないからなぁ。時間がかかると思った方が良いぞ」


「うう、かわいそうなジローちゃんざ~す。それまでずっとこんな目に遭うざ~すか……」


「つらいのはジローゲヨだけじゃないって。俺だって、あの変態賢者に見られているんだぞ」


「そうだったざ~すね。なんでこんな封印をしてしまったざ~すか?」


「そこは思い出せないんだよ」


「そうざ~すか。分からないことだらけざ~すね」


「まったくだな」


 ああ、やれやれだな。



「清酒魔王転がしの勇者よ、余の封印も解くのでアール」


 魔王ドーパギ・ジィゼダーがそう言った。


「なんでだよ?」


「場所が悪いからでアール」


「場所? どこに封印されていたっけ?」


「左の腎臓でアール」


「そうだったな。そこにいると何かあるのか?」


「作られているものを考えると、気分が悪いのでアール」


「ああ、なるほど」



「それなら大魔王のものも解け」


 大魔王ダオワベーヴォ・ベルズがそう言った。


「超大魔王のもお願いね」


 超大魔王ゼゾカードピド・ハイエーマがそう言った。


「なんでだよ?」


「大魔王も腎臓にいるからだ」


「ああ、そういえば、右の腎臓にいたんだっけ?」


「うむ、その通りだ」


「超大魔王は大腸にいるからだよ」


「ああ、そうだったな。やはり問題あるのか?」


「問題しかないよ。最悪だよ」


「そうなのか……」


 大腸か……


 ヨーグルトとか食べたら改善するかなぁ?


 いや、そういう問題ではないか。



身綺麗みぎれい清潔漂白王、早く手を洗いなさい。不潔ですよ」


 聖女マユメ・アイ・コトリハがそう言った。


「ああ、分かったよ」


「顔も洗って、歯磨きもするのですよ。あとは水分補給もしなさい」


「はいはい、分かったよ」


 お母さんかよ……



 俺は手、顔を洗い、歯を磨いた。


 ん?

 ステータス屋からアルヴェリュードさんが出て来たぞ。


「おはようでアリマス」


「ああ、おはよう」


「早起きでアリマスな、ダァンサービオさん」


「そうなのか? 今、何時なのだろう?」


「午前五時くらいでアリマスよ」


「そうなのか。って、なんで分かるんだ? 時計を持っているのか?」


「持っているでアリマス」


 アルヴェリュードさんが左腕に着けらえた腕時計を見せてくれた。


 なんか高級そうだな。



 おっと、水分補給もしないとな。


 俺は水を飲んだ。


 アルヴェリュードさんも水をんだ。


 そして、部屋に戻った。



 さて、これからどうしようかな?


 とりあえず、今日の予定を考えるとするか。


 ええと、今やらなければいけないことは、装備の購入だよな。


 装備は武器と防具だが、俺には武器と思われるものが出て来る能力が多数あったな。


 まずはそれを確認するか。


 武器を買わなくても良いかもしれないからな。

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