『ヴァンパイアハンターに優しいギャル 2』 倉田和算

『ヴァンパイアハンターに優しいギャル 2』 倉田和算


 どこにでもいるギャルの琉花は、復学生の銀華が元ヴァンパイアハンターであることを知っている唯一の一般人でもある。狩るべき敵を狩りつくして役目を終えた凄腕の元ヴァンパイアハンターの銀華が普通の人間として暮らしていけるように、というよりも単純に銀華のことが友達として気に入っているので、あれやこれやと自分の考える楽しいことに銀華を積極的に巻き込む日々を送っている。

 そんなこんなで夏がやってきたので、琉花は海で遊ぶことを決意して銀華や友達を巻き込んでいたところに、銀華に救われた過去を持つ元ヴァンパイアハンター見習い少女スエラが現れ、銀華に復帰を促す。しかし普通の人間にもどることを決意した銀華はスエラの要望をにべもなく断る。

 二人の微妙な空気に焦れた琉花はスエラも連れて海へ出かけて日常の楽しさを味合わせようとするのだが、スエラのバックにいるヴァンパイアハンターの復権を目論む「狩人同盟」のメンバーたちは高い実力とカリスマ性の持ち主でもあった銀華の復帰を諦めないのだった。


 タイトルそのまんま、一般社会に復帰したてで世間に疎いクール系ヴァンパイアハンター女子と彼女に優しい徹底的陽キャのギャルによる友情系百合ラノベの二巻。一巻が楽しかったので二巻も読んだ次第。

 夏がきたから水着買って海に行く! 遊ぶ! そしてツレとその元ツレの関係がなんか微妙なことになってるっぽいから一緒に遊んで仲をとりもつ! という話に、殲滅対象を狩りつくして存在意義を見失い迷走している元ヴァンパイアハンター組織の暗躍というストーリーを走らせたものになっている。そこまでは一巻の内容を受けたものだが、せっかく訪れた平和な日常にうまくなじめない戦士たちの苦悩を前にしたギャルの琉花がとある決意をするところが二巻の読みどころであろう。友達と平和な日常を愛する彼女が、明確な目標をもって行動している友人たちに刺激されて将来を考えた出した結果でもあるという点でも、バカバカしくもなかなか気持ちの良いものだった。

 

 ところで、魔王を倒した勇者たちのその後等といった「アフターもの」というジャンルがブームの兆しをみせているとかなんとかそんな話を小耳に挟んだのですが、人類の敵を倒した筈なのに平和な日常にうまくなじめない戦士たちの苦悩が語られている本作も「アフターもの」に入るんでしょうか? 識者に伺いたい気もするけど、まあ別に難しく考えずに楽しめる愉快なローファンタジーとしてもうしばらくつきあいたい。

 

 

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