魔王として生まれ変わった俺が世界を破壊する

第1話 血

辺り一面、見渡す限り死体が広がっていた。

人間、エルフ、オーク、ドワーフなど様々な種族が女子供関係なく倒れ、血の海を形成していた。

俺はその中でただ一人呆然と立っていた。

「なんだ、これは…」

誰かいないか注意深く周囲を見ながら歩いていると何かに躓いた。

「うぉっ…！～～～～ってえな」

「…ひっ！」

躓いた原因の正体を確認しようと足元を見ると、そこには憎しみに満ちた瞳をもった死体があった。

その瞳は不思議と俺に向けられているようにも感じた。

「なんだよ、これ。…なんなんだよ！」

「これは貴方様の願い、そのものでございます」

なっ、いつからいた！？今まで誰もいなかったはずだ。

もしかして、さっきまで倒れてた中の生き残りか？

だがその考えは彼女の姿をみることで吹き飛んだ。

黒を基調としたドレス、そしてここに広がる血を映したような深紅の瞳、なにより人間離れしたその美貌と全てを平伏させる威圧感がより一層警戒心を持たせる。

「誰だ！」

彼女はこちらを警戒する様子もなく歩み寄ってくる。

俺は戦闘態勢に入ろうとしたが動くことができなかった。

そして残り数mといった距離まで近づいたとき、彼女は応えた。

「私の名はカリスでございます、ルイス様」

「何故俺の名前を」

「フフッ、いづれお分かりになりますよ。その時を楽しみにお待ちしております」

目と鼻の距離まで接近し、彼女の手が俺の頬に触れようとした。