名づけ

あのあと、世界の陽は落ち、月が顔を出していた為、サザンカ達は神界に戻ってきた。

皆はアマノミコトの家である蓬泉殿ほうせんでんの中にある会議室に集まっていた。


「さて…おぬし達の能力などの現状を整理してもよいか…。」


「どうしたの、急に。

アマノんが珍しいわね、そんな改まるの。」


「いろいろな事が起き過ぎたのでな…。


まずは、ベロニカから。

能力は、火、水、風の生成…属性は魔法。

スキルは創造・再生、五つまでのスキル所持上限、能力確認、癒しの力…。


次にマツリカ。

能力は、天と地の生成…属性は魔法。

スキルはベロニカと同じ。


そしてサザンカ。

能力はスキル生成…属性は…魔法?

スキルは創造・再生、癒しの力…。


最後は我自身。

能力は…スキル以外のあらゆるものの創造…そして再生、癒しの力…。

属性は魔法。


こんなところか…。」


「アマノ様、さすがですわ。」


「そういえば、アマノ様には能力確認のスキルを付与していなかったですよね!


今から付与します!


あ!そうだ!!それとマツリカお姉様!

お姉様の力で、食べ物になる植物をたくさん植えて欲しいのです!!


さっき私が日の本から取り出したお茶の葉とかもたくさん植えて欲しいです!」


「わかったわ、サザンカ。


日の本を覗いた時、ちょっと見えたのだけど、人は自然の恵みを使って食べられるように手を加えているのを見たわ。

料理…と言ったかしら…。


私も興味あったの。」


「ふふっ、サザンカちゃんがここに戻ってくる前に言っていた、美味しいものってやつね!

出来上がりが楽しみだわ!!


二人に任せてもいいかしら!!」


「「はい!!」」


サザンカは言葉通り、アマノミコトにも『能力確認』のスキル付与を行った。


サザンカと三姉妹、アマノミコトが話している中、孔雀くじゃくも話に入ってきた。


『楽しそうな所、失礼しやすぜ。


さっきの創造神のあにさんが言っていた現状整理…。


あっしは、何になるんでしょう…。』


皆は|視線を一度孔雀くじゃくに向け、孔雀くじゃくの言葉を考えだした。


「何…と言われても…孔雀くじゃくよ。」


「…鳥。」


孔雀くじゃくさん!!」


孔雀くじゃくだ…。」


『……てやんでぃ!


他にも何かあるはず!!』


「う~ん…。


女神であるサザンカが直接創造したゆえ、話しが出来て賢さも持つ…種族は神獣…と言うのはどうだろうか。」


『おぉ!

そういうのを待ってやした!!』


「そうなれば、名前も必要ね!」


『ベロニカあねさん…。


あっしは…そのお言葉を心待ちにしておりやした!!


さぁさ、お名前!

どんとこいでさぁ!!』


「名前…勘三郎かんさぶろう!」


源太げんた。」


五右衛門ごえもんさん!!」


銀司ぎんじ。」


『……あねさん方…もっと上品な名がいいですぜ…。』


「そんな事言われても…あなた口調がねぇ。


生まれてくる時代間違えてるわよ、たぶん。」


『そ、そんなぁ…あんまりですぜ…ベロニカあねさん。


サザンカ嬢ちゃんは…何かないですかい?

生みの親として…。』


「う~ん…そうだなぁ~…。


孔雀くじゃくの雀を取って…鳥さんだから~…。


雀鷺ざくろ!」


「いいわね、ザクロ…さすが、生みの親ね。」


「サザンカちゃんナイス!!」


『サザンカ嬢ちゃん…。


あっし…一生嬢ちゃんについて行きやす!!』


「名が無事に決まってよかったではないか。


これからよろしく頼む、ザクロ。」


『ありがとうございやす!

創造神のあにさん!!』


「あ~…そういえば、自己紹介がまだだったな…。


我はアマノミコトだ。

呼び名は出来ればそちらを使って欲しい。」


『わかりやした!

アマノあにさん!』


「私は、マツリカ。

よろしくね、ザクロ。」


『よろしくお願いしやす!!』


「私はさっきしたわね。

改めて、ベロニカよ。

よろしくね、ザクロん。」


「はい!知っていると思うけど、私はサザンカ!これからよろしくね!ザクロ!」


『ベロニカあねさん…サザンカ嬢ちゃん…よろしくお願いしやす!!』


「ふふっ、これからまた楽しい事が起きそうね。」


「騒がしくなりそうですわ。」


「楽しい生活送れるように創造いっぱいしまーーす!!」


「サザンカ…それはほどほどに頼む…。

スキル付与も…ほどほどに…。」


「はーーーい!!」


「「「(本当にわかっているのだろうか…。)


……はぁ…。」」」


『そういえば…嬢ちゃんは、自然の物が造れないとさっき話にありやしたが…。


自分でスキル付与は出来ねぇですかい?』


ザクロ雀鷺は疑問に思った事を発しただけだったが、皆の驚いた視線を一度に浴びた。


「その手があったわね…。」


「そうよ、自分に何かしらのスキルを付与すれば、自然を造れるんじゃない?」


「う~ん…でも…それだと、ことわりを無視する事に…。


やるだけ、やってみます。」


姉二人に背中を押されたサザンカは、不安を抱きつつ、少しの期待を込めて、自然が造れるようなスキル付与を試みた。


「我、サザンカにスキル付与。

スキル『自然創造』。

いかなる自然を創造出来るものとす…きゃっ!」


サザンカが自分自身に自然創造スキルの付与を試みている途中、光が現れて言い終わる前にその光が膨らんだかと思えば、小さな火花を放ちながら消えていった。


その様子を見た皆は、顔面が蒼白になり、慌ててサザンカに声を掛けた。


「サザンカ、だ、大丈夫なのか?!」


『嬢ちゃん!

なんだか、バチバチしやしたぜ!』


「ちょ、ちょっと、サザンカちゃん!

大丈夫なの?!

熱くなかった?!」


「サザンカ、私が後押ししたばかりに、ごめんなさい。」


「それなら、私もよ!

ごめんね!!サザンカちゃん!!」


「み、皆さん…落ち着いてください…。


びっくりはしましたが、大丈夫ですよ!熱くなかったです!


けど…やはり、ことわりが働いたのか、失敗に終わりました。」


「サザンカちゃんに怪我がなくてよかったわ…。


けど…やっぱりダメなのね…。


サザンカちゃん!何か造りたいものがあったら何でも言ってね!

力になるからね!!」


「私も、力になるから…遠慮はしないで。」


「うむ、我も右に同じく。」


「お姉様達、アマノ様…ありがとうございます。


ならば、まずは食べ物に関する植物とか、料理する場所とか、もろもろお願いします!!」


「サザンカちゃんたら…花より団子…ってところかしら。」


「サザンカらしいわね。」


「元気でなによりだ。」


『なるほど、嬢ちゃんは活発で、花より団子…把握したでさぁ!』


創造神と女神達に孔雀くじゃくザクロ雀鷺が加わり、また一段と神界は賑やかになるのだった。

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