不器用なたかしと器用な仲間たち
あか/セイななみ
第1章 1年生
第1話 楽しいアメリカ生活
ワクワクワクワク
今日はヒロがフロリダからニューヨークに帰って来る日だ。久しぶりだな。何ヶ月ぶりだろうか。今日はボクが一番得意で彼も気に入っていてくれているオムライスでも作ろうか。ついでにケーキも買ってこようか。彼の全米オープン優勝祝いだ。
ボクは胸をワクワク弾ませながら彼の帰宅を待った。
ボクが日本を離れ、アメリカに来てから9年の月日が経っていた。初めはアメリカに来るなんて考えは全くなかったけれど、両親や彼の家族のおかげでボクは何とかやってこれた。あのまま日本にいたらボクは今頃どうなっていたのだろうか。想像出来ないほど怖い。
ボクが支度を済ませ彼の帰宅を待ち、夜9時を過ぎた。
ワーオ!アフターオールニューヨークイズコールド…。(やっぱりニューヨークは寒い…。)
こ、この声は…。
ボクはソファーから立ち上がり玄関先へ向かった。
ガチャ
高嗣「…!ヒロ!」
ジェイミー「…ワーオ!高嗣!」
高嗣「会いたかった!おかえりなさい!」
ジェイミー「僕も会いたかったよ、タカーシー!」
高嗣「ソウジさんもお疲れ様です!」
ソウジ「高嗣さん、サンキューです!」
高嗣「さ、さあ中に入って。寒いでしょう。」
ジェイミー「タカシー!アフターオールニューヨークイズコールド!!」
高嗣「アハハ。そうだよね。さあ入って。」
ボクはヒロとソウジを家の中へ入れた。
ポカポカ
ジェイミー「オー、イッツワーム…。(あー、暖かい。)」
高嗣「ねー、ヒロ。ソウジさん。今コーヒー入れるから席に座ってて。」
ボクは二人をリビングのソファーに座らせ、ティーパックのコーヒーを暑いポットで注ぐ。そしてそれを二人へ手渡す。
高嗣「ソウジさん。ミルクとシュガーです。」
ソウジ「サンキュー!高嗣!」
高嗣「どういたしまして!今からヒロの優勝パーティをします。オムライス作るので待っててね。」
ジェイミー「オー!オムライス!タカシ特製オムライス!早く食べたい…。」
ボクはオムライスを3人分作るとテーブルの上にあげた。
高嗣「よし、出来たよ。食べよう!」
二人「はい!」
ボクは皆にオレンジジュースを注ぐ。
高嗣「ヒロ!優勝おめでとう!乾杯!」
ソウジ「ジェイミーさん。おめでとうございます!私も目の前で見ていて素晴らしい試合でした!」
ジェイミー「サンキュー!」
僕たちのパーティは3人だけど楽しく過ごした。
ジェイミー「ところで高嗣。高嗣は明日から学校でしょう。お願いがあるんだけど。」
高嗣「…な、何ですか。」
ジェイミー「僕もついて行ってもいーい?」
高嗣「…。」
ヒロが一緒に学校!ヒロが一緒に学校に来る?!ヒロが一緒に学校に付いてくるー?!
ジェイミー「…ダメ?」
高嗣「あ、えーと、えーと。だ、ダメです。」
ジェイミー「何でー?!」
高嗣「…だ、だって。ヒロと一緒にいたらボク、注目されちゃうじゃないですか!」
ジェイミー「…注目を浴びる?全くそんなこと考えたことがなかったなー。」
高嗣「え…。あるじゃないですか!」
ジェイミー「へ?」
高嗣「…あ、いや何でもないです。ヒロ、お風呂先にどうぞ。」
ボクは早々とテキパキ皿洗いをしてキッチンの周りを掃除した。
ヤバイ!ヤバイ!ヒロに嫌な話するところでした。思わず口から出そうになりました。言わなくて良かった…。言ったらまたケンカするところだったし…。
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