あやめっちと仲間たち

ヤッキムン

着物姿の女の子

小4の時に、大阪の小学校に転校になった。

小3まではパリに住んでいた。


京都にめっちゃ近い大阪。

だから、いろんな古墳もあるし、お寺もあるし、歴史的な雰囲気のただよう街。


家の裏庭には、自転車とかを置いてある物置小屋あって、その横に草むらある。

なんとなく、いろんな時代とつながってるような感じのする草むら。


小5になった、ある日曜日、その草むらの中でも、めっちゃどこかとつながってるような気のする場所あって

「えいっ!」

って思い切って飛び込んでみた。

一瞬フワッと浮き上がった。

そして、草むらにバサッと着地した。


あたりを見回したら、裏庭どころか、あたり1面、草むらみたい。

家もめっちゃ昔に建てられた感じの家になってる。


「あー!あやめっちー!こんなところにいたー!」

って女の子の声してきた。

タッタッタッタッタッターッて、着物姿の女の子、走ってきた。


「あやめっちー!はやく行くよー!」

って言って、ボクの手をギュッと優しく握って、引っ張って走りだした。


「今日は唄の勉強だよー」

って、その女の子は言ってる。


「あ!そっかー!いせっちー!」

って、ボクは、その女の子に初めて会ったのに、名前を呼んでいる。


いせっちといっしょに手をつないで、しばらく走っていた。


やがて、ちっちゃな学校に到着した。


「あやめっち、つれてきたよー」

って、みんなに言ってる。

みんな、着物姿。


「あー?あやめっちの着てるの、動物の刺繍みたいなの、ついてるよー?」

「ネコの飛んでるとこみたいー」

って言って、みんな笑ってる。


「プーマだよ」

「えっ?」

「ネコの仲間だよ」


それから、みんなと唄の勉強をした。

いせっちは、めっちゃ良き唄をよんでいる。


ボクも、空を飛んでるトリさんのことを唄にした。


学校も終わって、また来た道を、いせっちといっしょに帰った。


草むらに向かって

「えいっ!」

って、飛び込んでみた。

一瞬フワッと浮き上がった。

いせっちは笑って手をふっている。


バサッと草むらに着地した。

もとの家に戻っていた。


家に入って、晩御飯を食べた。

お姉ちゃんに

「さっき、草むらから、いせっちと会ってきたでー」

って言ってみた。


「いせっち?お友達なん?」

「うんっ!いっしょに唄をよんできた」

「えっ?唄?あやめっち、唄なんて、よめるん?」

「飛んでるトリさんのことをよんできた」

「あやめっち、トリさん好きやもんなあ」


「うんっ!でも、いせっちは、めっちゃ唄つくるの上手やった」

「いせっち?伊勢さん?...知らんけど」

「伊勢さんって?」

「百人一首とかの伊勢さん。お姉ちゃんの高校の近くに、伊勢さんの住んではった伊勢寺あんねん」

「えー?じゃあ、いせっちって、その伊勢さんなんかなあ?」

「今おるわけないやろ!あほやなあ、あやめっちも!あはははは」

「そっかあ!今おるわけないなあ!あはははは...伊勢さんかあ」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る