第39話改めて
「先程はご迷惑をおかけしまして申し訳ありません…」
しょんぼりした表情で謝る愛美先輩。
「愛美先輩のせいでは無いですよ?」
「それでも松山様にご迷惑おかけしましたし、出資の話迄…わたくしは…どうやってその恩をお返ししていけば良いのやら…」
「あ~、だったら…俺の傍に居る時は笑って居て下さい!いつもの愛美先輩の上品な笑顔で」
「!?…そ、そんな事ではとても返せませんわ…」
「それだけで充分です。それにほら、俺に好意を持ってくれている女性にそんな顔させたく無いでしょっ?男なら…」
「そんな事言われるのは松山様だけです…」
「とにかく…そんな事はもう考えず折角遊園地に来てるんですよ?楽しみましょう!」
「も…もう/////」
俺は愛美先輩の手を取りアトラクションへ。ゴーカート、メリーゴーランド等のゆったり系を回ると時刻は昼過ぎ。愛美先輩の笑顔が増えて来たので一先ず食事へと向かう事に。
「何にします?」
「そーですわね…こういう所で食べるのは初めてなので迷いますわ…」
「だったら無難に特製ハンバーガーセットにしますか?」
「松山様もそれですか?」
「はい」
「でしたら同じ物を…」
「分かりました!」
暫くすると注文した物が出来上がって来る。
「お待たせしました。特製ハンバーガーセット四つですね!…ありがとうございました!」
店員さんからまずは2つ受け取り茜先輩と愛に渡し、直ぐ様残りの2つを受け取り愛美先輩の元へ。
「あんな気が利く男性居ないし…」
「そうでゴザルな…」
「マジ抱いて欲しいし…」
「分かるでゴザル…」
「あ~し…アタックするし…」
「一緒に頑張るでゴザル…」
近くで仲良く2人…何か言ってるみたいだけどよく聞こえなかった。お礼かな?きっとそうだろう…。
「これがハンバーガーなのですね?」
「そうですよ」
「どうやって食べるのですか?」
「こうやって持ってこうガブッっと…モグモグ…ゴクン…こういう感じで!」
「は…恥ずかしいですけど…えいっ…ガブッ…モグモグモグモグ…ゴクン…美味しい」
「それは何よりです!」
「ハンバーガーってホントに美味しいですね」
ケチャップが少し愛美先輩の口の周りに付いているので俺は何も考えずに人差し指でそれを掬い自分の口へと運んだ…。
「あっ…/////」
「す、すいません。愛美先輩!」
「い、いえ…あの…その…ありがとうごじゃいます/////(モジモジモジ…)」
…やらかしてしまった。つい…姉さんがいつも口に付いた時は俺にこうしろと言ってやらされていたからいつも通りにしてしまった。俺も滅茶苦茶ハズい…。
「ハンバーガー甘いし…」
「あれは甘いでゴザルな…」
「あ~しも付けて豊和っちに近付いて…」
「今は我慢するでゴザルよ?」
「蛇の生殺し…し~…」
「同感でゴザルよ…」
******
食事を終えた後は迷路のアトラクション。少しビックリする位のお化け屋敷。遊園地特有のパレード等を体験。そして締めは観覧車。これは外せないよね?
「あ~、本当に楽しかったですわ」
「ええ…本当に楽しかったです」
「これが一回転すると魔法が解けた様にこの楽しい時間は終わるのですね…」
「そうですね。でも…」
「でも?」
「今日は終わってもまた今度がありますよ?」
「約束してくれますか?」
「勿論」
「…ま、松山様…大好きです…」
「…っ/////!?」
「…豊和様と御呼びしても良いですか?」
「…はい。呼び捨てで良いですからね?」
「豊和様にもう1つお願いが…ではなく…わたくしはと本当にお付き合いして下さいませ/////」
愛美先輩のその言葉はすぅっ~と俺の中に入って来て嬉しく感じる。なら…
「愛美先輩…それは男の俺から言います」
「は…はい?」
「…俺と付き合ってくれますか?」
「はいですわ!」
抱き付いて来た愛美先輩を優しく受け止め抱き締め返す。そして愛美先輩は俺を見上げ顔を赤くしながらも目を瞑る…。これはアレだよな?定番のシチュエーション?そっ~と愛美先輩の唇に近付いてお互いの唇を重ねる。このゲームのヒロインの1人と付き合う事になるとは夢にも思っていなかった…。
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