第19話主人公?

 校門前に着くと見た事ある顔…誰だったけ?何か引っ掛かる。そうだ。キャラメイクする前の主人公馬場隆弘がこんな顔をしていた。というかまだ二週間経って無いのに主人公が居るという事はゲームとは全然違うという事だろうか?何より遥があんな事を言っていた位だ。俺は少し来た道を引き返し深雪へと連絡をとる。


『豊和先に行くなんて酷いんだけど!』


「あ~悪い。直弘とちょっとな…」


『ちゃんと明日からは私達と一緒に行く事!良い?』


「了解!それよりも遥はそこに居るか?」


『うん。居るけど…どうかしたの?』


「校門の所に隆弘が居ると伝えてくれるか?」


『ちょっと待ってて。…遥…校門の所に隆弘って男が居ると豊和が言ってるよ』

『ホントにアイツが?』

『思ったよりも行動が早すぎますわね』

『ふん、私が蹴散らしてあげるわ!』

『拙者も遥殿を守るでゴザルよ!』


「悪いな、深雪。先日遥に頼まれたんだけど彼氏のフリをする事になってて…」


『うん。聞いてるよ。遥を宜しくね!』


「ああ、学校近くのパン屋の前で待ってるから!」


『うん。分かった。伝えておくね。もうすぐ着くから待ってて!』


「後でな」

─Pi!携帯をきり深雪達が来るのを待つ。




******


───「お待たせ豊和!」「豊ちゃんおはよう!」「おはようございます松山様」「豊和おはよう位は毎朝言わせなさいよね!」「豊和その通りよ!」「でゴザルよ!」「おはよう豊君!」「おはよう!豊和君ありがとうね、知らせてくれて!」


「ああ、皆おはよう。遥と約束したしな」


「で、どうする訳?」


「彼氏のフリだろ?」


「それでアイツが諦めれば良いけど…」


「遥殿に対する執着が異常でゴザルからな」


「豊和君。取り敢えずお願い出来る?」


「勿論。遥との約束だし…それに…」


「それにどうしたの豊和?」


「あ~、まだ心がグチャグチャなんだけど…どうやら俺、皆の事…他の人に渡したく無い気持ちもあるみたいで…」


「「「「「「「えっ?」」」」」」」」


「ホントに豊和?今朝言ったから暫く掛かると思ってたけど…」


「まだ時間は欲しいんだけどな…って皆泣くなよ!俺が泣かしたみたいで非常にいたたまれないんだが?」


「良いじゃん!豊和、皆待ってたんだから」


「ホントだよ。朝から嬉しくて…」

「ボクも…」

「わたくしもですわ」

「…ホントに馬鹿なんだから!朝からこんな…こんな嬉しい事言ってくれるなんて…」

「拙者も堪え切れなかったでゴザル…」

…豊和君」

「豊ちゃんのばかぁ…」


 これは皆が泣き止む迄待たないといけないな。まだちゃんとした告白でも無いのに美少女7人に駆け寄られる俺。通行人が何事かとコッチを見ながら歩いて行く。深雪、1人だけ離れた所に逃げて笑ってるなんて卑怯だと思うぞ…!直弘達は見掛けないという事はサボりやがったな、あんチクショウめっ!まぁ、甘んじて受け入れるしか無い…か?遅刻は確定だけどな…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る