第30話はっ?

「はぁ~、知らないうちにあんたは何人の女の子を垂らし込んでるのよ?」


「垂らし込んでね──ぇ!」


 現在病院の待合室には俺、母さん、真冬先輩、愛美先輩、茜先輩、美麗先輩の6人がところ狭しと部屋を占拠していた。ここの待合室は八畳位の部屋になっており座敷迄ありちゃぶ台みたいなテーブル、端には冷蔵庫迄完備。窓から見える遠くの山だけが今の俺の心を癒してくれる…。


「真冬ちゃんに聞いたけどあんた全員と付き合うって本気なの?」


「…はっ?」


「はっ?じゃないわよ!どこのハーレム王を目指すつもりなの、あんたは?」


「目指す訳無いだろ!なんだよ、ハーレム王って!真冬先輩、母さんに何言ったの?」


「えっ?ありのままだけど。私達は貴方が居ないと生きていけないから…。それに今度法律も改正され一夫多妻になるのよ?そうよね、愛美?」


「ええ、その通りですわ。だからお気になさらず全員愛して頂ければと!」


「ふん。私はどちらでも良いけど豊和がどうしてもと言うなら仕方無く、そう、仕方無く結婚してあげるわ!」


「拙者は豊和殿と毎日身体を重ねるでゴザルよ!」


「色々と初耳だし、言いたい事が一杯あるが茜先輩だけはアウトだからな!」


「…個性豊かな面々ね。ゴホン!とにかく親としては今は何とも言えないところではあるわね。。万が一妊娠させてしまったらと思うとねぇ~。あんたまだ高校生だしね?」


「…んっ、母さん何言ってんだ?」


「えっ?妊娠の心配は当然でしょ!あんたは男なんだから…」


「そこも気になるがそこじゃない!」


「1つ屋根の下に男女が一緒に居るという事はそういうことでしょ?あんたの父さんもあの時、2人っきりになったとたん狼の様に私を押し倒して…」


「親のそういう話なんて聞きたくねぇーよ!そうじゃないんだ母さん。一緒に暮らすって何だ、暮らすって?」


───ガチャ!

「豊ちゃん!」

「豊和!」

「豊和君!」

「豊君!」


「幸子に深雪、遥に唯迄…ちょっと待っててくれ。今大事な話の途中で…」


「待つ訳無いでしょ!豊ちゃん!心配したんだから…私、凄く不安で…」

「そうだよ!豊和の馬鹿ぁ!」

「心配したんだよ…豊和君…」

「ボクも君の顔を実際に見るまでどんなに不安だったか…」


 マズイ。非常にマズイ!待合室は地獄絵図と化しているだろ、コレ?待合室のドアが開いている為、通りすがりの人全てが蔑む視線を向けて来る。待合室に男が1人。泣いている女の子達。俺の近くに寄り添っている女の子達。うん…修羅場にしか見えない………。


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