第8話side遥
私達がゲームのキャラだと気付いたのは
ゲームのキャラと気付いてからは全てが苦痛だった。好きでもない主人公に『好きだよ♡』『ずっ~と傍に居てね!』『…キスしたい…な♡』と表情をいかにも貴方に恋しているという風に創り台詞を言わなければいけない。台詞だけならまだしも好きでも何でも無い誰かとキスしたり身体を何度も重ねないといけないのがどれ程の苦しみと絶望かは私達にしか分からない。
そんな私達はヒロインとして選ばれない時だけが唯一の私達の安息。そんな終わる事が無い絶望しか無い時間を過ごして居ると、私以外のヒロインキャラも自我を持っている事に気付いた。そして同じ事を思っていた。でも何も変わらない。そんな日々に変化が訪れる。彼だけは違った。ゲームのシナリオが変わったのだ。何故そんな事が起こったのかは今も分からない。当初、彼は誰1人として私達を攻略しなかった。ただ普通に話をしてただけ。そんな彼に私達は次々と初めての恋をした…夢中だった…そして1人ずつ結ばれていった…幸せだった…でもそんな幸せは長くは続かなかった。
彼が亡くなった?どちらにしてもそれに近い事が起こったのが私達には分かった。と同時に私達は願ったのだ。その時何かが起きて誰かは分からないが何かを言っている。言葉は分からない。だけど私達にはそれが何か伝わったし神様だと思った。
彼を私達の元に転生する事、幸せにする事と引き換えに私達はこのゲームが始まる舞台迄、つまり高校に入学する迄逢わない事が誓約となった。誓約が神様と交わされる…それを境に私達は身も心も新しく生まれ変わりゲームとは別の人生を歩む事になった。私達は身も心も綺麗なまま彼に逢えるのだ。
入学式当日、私達は彼を見つけた。心臓が高鳴る。私達は入学式が終わると同時に彼の元へと急ぎ駆け出した。
勿論彼は何故私達に声を掛けられているのかさえ分からないだろう。久しぶりに逢えて会話する。その事だけでも凄く嬉しい。まさか彼に想いを寄せる娘が居るとは思っていなかったけど…。私達が知らない彼を知っていて少しだけ…ホントはかなり嫉妬してしまった。
一年生は午前中で終わりな為、唯と私は真冬ちゃん、美麗ちゃん、愛美ちゃんには悪いと思いながらまた彼の元へ。学校の下駄箱で彼を掴まえた。するとまた1人想いを寄せてると思われる
痴女と思われなかったかな?大胆だったかな?今、私は物思いにふけっているけど現在進行中で他の4人からは今もひっきりなしに連絡が届いている。
でもごめんね。今は手が放せないのだ。もう少しだけ彼との…豊和君との初めての頬っぺにキスした事に浸らせて!そして余韻に浸りながら1人情事に励む少しエッチな私を許してね♡
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます