第117話 賄賂
今日から討伐はとうぶん休み。
探偵からヤバいブツを預かったとの連絡があった。
あの女子高生が持ってきたらしい。
そのブツとは使い捨てカメラ。
賄賂を渡す場面を撮ったようだ。
場所は会員制秘密クラブの中。
安全だと思って
俺は女子高生に100万円謝礼を払うように言って、ネガを預かった。
プリントした写真は極秘裏に週刊誌に売った。
これで
写真は盗撮だが、警察が動くに違いない。
それに国会で追及されれば議員辞職もあるかもな。
何時間かして、週刊誌の記者から電話が掛かってきた。
「やられました。覆面をした強盗が白昼堂々と編集部に押し入り、写真を奪って行きました」
「分かった。ネガはあるが追加で写真は送らない。またそんなことがあると怪我人が出るからな」
大胆だな。
手段を選ばなくなった。
よし、ネットに写真を流そう。
俺は拡散希望と書いて、SNSに写真をアップした。
写真は瞬く間に拡散された。
これで世論は動くに違いない。
「マッピングしてみてくれ」
「はい、【マッピング】ひとつの抜け道は非常階段に、もうひとつの抜け道はビル脇の立体駐車場の中に続いてます」
立体駐車場なら車に乗ってすぐに逃げられる。
考えたな。
表に回ると、女子高生と男達がやはり入って行く。
自分のケツに火が付いているのに乱交売春をやめないのか。
いいや、弱気になると裏切り者が出ると考えたのかもな。
逮捕されたわけじゃないからな。
写真が捏造だとテレビ局が訴えられる。
慎重になっているか、
SNSでは拡散した写真が次々と消された。
必死になっているな。
人の記憶からは消せないのに。
次の手を打つか。
俺は女子高生に会いに行った。
「100万くれた人? もう何でもしちゃう」
「売春が行われてたことを警察にたれ込んでくれ」
「サツにチクるの。パパ活やってたのが学校にばれると嫌かも。お金によっては考えるけど」
「300万でどうだ」
「やる」
これであの会員制秘密クラブが摘発されれば芋づる式だな。
女子高生の話では
手を出していたとしても外で会っているんじゃないかと女子高生は言ってた。
用心深い奴だ。
摘発されても子飼いは逮捕されるけど、自分はまぬがれるということを考えているようだ。
状況証拠は上がるけど、決定打に欠けるな。
あと何かが必要なようだ。
探偵に
とりあえずの打つ手はこんなところか。
さて、パラダイスサイバーの犠牲者行脚をしよう。
今回は刑務所。
他の薬物使用で逮捕された奴に会いに行く。
「おい、話を聞いていたか」
面会した受刑者は少し上の空。
「えっと、治療してくれるって」
「そうだ。記憶は消えるけどもな」
「この糞ったれな記憶なら消してくれ」
「【タイムバックリペア】」
修復士がスキルを使う。
「俺は何でこんな場所にいる? ここはどこだ?」
「薬物使用で捕まったんだよ。その治療を施した」
「俺が薬物を使ったなんて嘘だ。ここから出せよ!」
受刑者が暴れ始めた。
刑務官が受刑者を連れていった。
あいつは刑務所生活を納得できるかな。
自業自得だが少し可哀想な気もする。
「この行いは正しいのかな?」
「わしにも分からん」
「あなたのスキルって若返りも可能でしょう?」
「ああ、そういう依頼は断っている。自然の理に反するからな」
「記憶を失ってまで回復する価値があるのかな」
「分からんが、病気治療なら、やむなしだと思っとる」
世の中には難しい問題が多過ぎる。
別の治療アプローチを考えた方が良いのかな。
記憶の回路を消すには脳細胞を弄らないと。
正常な脳回路と、異常な脳回路の区別をどうつける。
治癒魔法で治らないのは実証されている。
脳の回路のデバッグをすればいいのか。
脳内全てのデバッグをするのは大変だ。
スキルでもかなり難しいだろうな。
でも、合間に考えることはただだから、これからも考えていきたい。
常に最善を考えよう。
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俺の収支メモ
支出 収入 収支
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繰り越し 30,022万円
上級ポーション2個 604万円
彫像10体 10万円
弾丸製造 500万円
魔力買い 512万円
ネガ 100万円
売春告発 300万円
52部屋改装 18,200万円
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計 19,112万円 31,136万円 12,024万円
ファンドメモ
俺の出資1250口 125億円
客の出資9438口 943億8千万円
俺達の装備は。
俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号
キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖
反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール
金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪
2階層のザコ部屋全部を改装に取り掛かった。
2階層の部屋はちょっと変わった作りだ。
中央に殺処分ロッカー。
なので、住居はコの字型だ。
裏には殺処分ロッカーの死骸搬出口。
表には玄関
部屋の奥にはトイレ。
もう一つの奥はキッチン。
部屋からは殺処分するモンスターの悲鳴は聞こえない。
ほぼ真空にしているからだ。
1階層をこの形式に作り替えたりはしない。
その代わり2階層の分譲価格を3000万円にした。
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