第115話 パワードスーツ

 今日の討伐はオーガ。

 やはり1体だ。

 少し前は2体だったのに少なくなっている。

 これは良い前兆なのか悪いのか。

 サクっと倒した。


 宝物は、金貨24枚だった。

 金にはなるからまあ良い。


 次の討伐はギガントアリゲーターだった。

 ワニなのだが、そのでかさはまるで恐竜時代の生き物だ。

 魔石弾の敵ではなかったけど。

 こいつの皮を加工するのは大変そうだ。

 柔らかそうな腹だけ加工するのかな。


 宝物は、強欲の財布。

 無限収納の財布版だ。

 要らないので売った。

 だって、財布の口以上の大きさの物が入らない。

 財布以外の用途は考えづらい。


 第三セクターの研修員を訪ねる。


「いやぁ、くず鉄回収がロボット化されて助かりましたよ。死骸回収もロボット化できないですかね」

「第三セクターが本格稼働したら、上に掛け合うんだな」


「それより思考入力のパワードスーツのニュース見ましたか」

「ソーツシステムな。そのニュースなら見たぞ。慣れると手足より速く動かせるらしいな」

「あれ買ってほしいですね」

「そういうことは上に言え」


 作業が段々と機械化されていく。

 モンスター退治用のパワードスーツが開発されるのも時間の問題だな。


 ウルトラソフトウェア社にモンスター退治用のパワードスーツ開発を提言した。

 モンスター攻略は効率よくいかないとな。


 SLEの辻堂つじどうの部屋に顔を出した。


「先輩、電話では話せないことですか?」

「いいや、顔を見たくなってな」

「気持ち悪い」


 辻堂つじどうが顔をしかめた。


「魔石コーティングをパワードスーツでやれ」

「あれですか。たしかに装甲の軽量化がなされればかなりの進歩ですね」


「一般人に銃の武装は不味いから、そういうのでやるのだよ」

「パワードスーツは反社勢力が喜んで買っていきそうですね」

「最初の導入は警察からだ」

「それが妥当ですね。盾に魔石コーティングしてみますか」

「そうだな。いきなりパワードスーツは飛躍し過ぎたかもな」

「スキル持ちの犯罪が増えてますし、そういうのにも対抗できる盾はかなり売れると思います」


 反社勢力が魔石コーティングの装甲を身にまとうと、魔石弾でも歯が立たないことになりそうだ。

 法整備が必要だな。


 区長の所にも顔を出すか。

 軍畑いくさばた区長は忙しいようで、だいぶ待たされた。


「御無沙汰してます」

「用件は何かね?」

「色々な案件があるのだが、法整備が追いついてない」

「はっきり言って、私では法整備の関係は権限を越える。党の上のほうに話してもたぶん駄目だろう」

「見返りがないからですかね」

「そうだね。だから箱物の議案は通り易い。これはオフレコだ」


 兵器産業の会社に話を持って行けばいいのは分かる。

 そうすればやつらは一般にも売りたくなるだろう。

 だが反社に製品が流れるのは避けられない。


 俺達専用にだけに留めておくのが正解かな。

 パワードスーツのデザインを考える。

 手や足をアシストする方向だと素早く動かせない。

 ロボットの中に乗り込むみたいなデザインだと、いくらでも早く動ける。

 ただ酔いそうだが。


 ソーツシステムは魔石と離れていても反応する。

 思念を飛ばしているからだ。

 じゃあ、パワードスーツじゃなくて、遠隔操作のロボットでいいか。

 それなら、人型にこだわる必要もない。


 ただ、ロマン的な物がな。

 近代兵器はドローンが主流だ。

 自爆型ドローンをソーツシステムで操って、攻撃するのがコスパ的に正しいのだろうな。

 俺はパワードスーツの提言を取り消した。


 がっくりですという担当者のメール。

 代わりにソーツシステムを使ったドローンを頼んだ。

 だだ、ここで法律が邪魔をする。

 俺は爆発物を取り扱いできない。

 免許を取らないといけないようだ。


 くそっ、この歳になって試験勉強はつらい。

 というわけで。


「爆発物取り扱いの免許を取れたら、ボーナスとして1000万円出そう」


 パーティメンバーを前にそう言ってみた。


「俺はパス」


 速攻でそう言ったのは番田ばんださん。


「この、私の頭脳を持ってすればたわいもない」


 自信ありげな拝島はいじまさん。


「やってみようかと思います」


 と藤沢ふじさわ


「そうですわね。1000万あれば生活費に困らないでしょうし」


 上溝うえみぞさんもやる気だ。


「僕もやってみようかな。家族も挑戦しろと言ってますし」


 スケルトンがカタカタ歯を鳴らし、御嶽みたけ青年がそう述べた。

 持つべきものはパーティメンバーだな

 誰かが受かるだろう。

 特に拝島はいじまさんは期待大だ。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               24,086万円

上級ポーション2個             608万円

彫像10体                  10万円

弾丸製造                  500万円

魔力買い         518万円

金貨21枚                 242万円

猫の足                   300万円

カモシカの足                300万円

オアシスの壺              2,587万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            518万円 28,633万円 28,115万円



パーティ収支メモ


              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               45,954万円

オーガ                    51万円

金貨24枚                 276万円

ギガントアリゲーター            115万円

強欲の財布                   1万円

弾丸60発          6万円

弾丸用魔石        150万円

付与魔法依頼        50万円

魔力買い         264万円

猫の足          300万円

カモシカの足       300万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計          1,070万円 46,495万円 45,425万円



ファンド収支メモ


俺の出資1250口       125億円

客の出資8910口       891億円


              支出       収入        収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し               243,708万円

カイザーウルフ60体           4,500万円

ドッペルオーク12体             600万円

シャーマンオーク12体            720万円

エンペラータランチュラ12体       1,056万円

メイズスパイダー12体          1,020万円

エレファントスレイヤー12体       1,440万円

オーガ96体               5,280万円

弾丸製造                   500万円

酒                       12万円

転移輸送                   816万円

最下級ポーション               544万円

くず鉄20トンほど              203万円

シャイニングストーン             501万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計               0円 260,900万円 260,900万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン        -48億円

出資金          125億円


 2階層の空き部屋から出た宝物は今回は当たりだった。

 とくにオアシスの壺の人気が高い。

 足装備も充実。


 俺達の装備は。

俺 追憶のペンダント 不眠の冑 剛力の籠手 モノクル 身代わり人形 祈りの像 ミスリルのシャツ カモシカの足 戦車1号

藤沢ふじさわ 巧みの手 俊足のブーツ 力の腕輪 魅惑の香水 反射の胸当て

上溝うえみぞ 巧みの手 俊足のブーツ

番田ばんだ 不動の盾 猫の爪 堅固の胴鎧 猫の足

拝島はいじま 祈りの像 足捌きの脛あて 鷹目の冑 カモシカの足

御嶽みたけ 幻影のネックレス 耐衝の胸当て カモシカの足 不眠の冑


キープ 亜空間収納 千里眼の目隠し 身隠しのマント 変装の仮面 スキル鑑定の杖

    反射の盾×2 衝撃の盾 浮遊の靴 収納の壺 蛸の手 眠りのオルゴール

    金剛糸×2 オリハルコンの縫い針 熊の爪


 猫の足は売ろうと思ったが、番田ばんださんが欲しがったので、パーティでお買い上げとなった。

 性能はぶっちゃけ良くない。

 足音がしないのと少し早く走れるだけだ。

 滑り止め機能のカモシカの足の方が優れている。

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