第61話 夢
「新入社員の
そう言ってまだ初々しいグレーのリクルートスーツに身を包んだ女の子が頭を下げた。
ああ、夢か。
そんなこともあったな。
「
「分かりました。じゃあ、ついて来て」
「はい」
空いているデスクに案内する。
「この席を使って。とりあえず備品置き場から新品のパソコンを持って来て、ソフトのインストール。今日はそこまでできたら終わりだ」
「はい」
俺と
ソフトのインストールはエラーさえでなければ見ているだけだ。
「インストールしている間にソフトの使い方のマニュアルを読んで。でインストールでエラーが出たら俺を呼んで」
「はい、先輩」
俺はテキパキとインストールして、自分のデスクに戻った。
そして、何日か後。
「大変だ。納品した製品にバグが出たぞ。システムが止まって得意先がカンカンになっている。一刻も早く原因を突き止めるんだ」
同僚がメールを見て大声で報せた。
さあ、大変だ。
俺は担当部分のチェックに入った。
ざっとみた感じ大丈夫だ。
問題のデータでプログラムを走らせる。
止まったな。
原因はどこだ。
プログラムの途中にログを吐き出すプログラムを入れる。
大体、原因が分かった。
止まった箇所のデータからプログラムの動きを推測。
分かったぞ。
ふぃー、なんとか1日の徹夜でなんとかなった。
「バグが分かったぞ。お疲れ」
バグを修正、バージョンアップ作業をして終わったはずだったが。
「取引先が契約を打ち切ると言っている」
同僚の青い顔。
この後の展開も知っている。
「言いたくはないが。
「すみません。テストデータでの確認を怠ってました」
「すみませんで済んだら、警察は要らないんだよ。学生気分でいられたら迷惑だ」
「すまんな。責任は俺にもある。指導する役目だからな。今から二人で取引先に行って謝ってくるよ」
「
俺と
「すみませんでした」
「すみません」
二人で頭を下げる。
「聞いたぞ。初心者がやるようなミスだってな」
「すいません、新入社員なんです」
「
俺は
言い訳するとこういうのは駄目だ。
俺はバグが起きないための対処方法を説明した。
だが、相手は許すとは言わない。
仕方ない。
切り札を切るか。
「すみませんでした」
俺は土下座した。
「先輩」
「もういいよ。次はなしだからな」
帰りに喫茶店に寄る。
「失敗は誰にでもある。リカバリーできないこともあるけど、それも経験だ。失敗したことを忘れなきゃいい」
「はい。先輩が私のために土下座してくれたこと忘れません」
「そっちは忘れてくれた方が良い。頼む忘れてくれ」
「ふふふっ」
「やっと笑ったな。落ち込んでばかりいられないぞ。次の仕事が待っている」
「はい、先輩」
こんな落ちだったな。
肩を揺すられて起きた。
「すまん、うとうとしてた」
「忙しいから仕方ないですよ。なんだか嬉しそうですね」
「昔の夢を見ていた。
「ひょっとしてあれですか。土下座してくれた件」
「良く分ったな」
「新入社員の時に強烈な思い出といったらあれですよ。あの一件で先輩が好きになりました。ひとつ気になっているのですが、私に土下座を求めなかったのは何でです?」
「指導係だったからな。それと女の子に土下座させたなんて事になったら、俺は自分を許せない」
「そうですか」
ええとメールが来ているな。
詐欺の前科があるじゃないか。
調査しておいて良かったぜ。
こいつは詐欺師だ。
危うく犯罪に巻き込まれるところだった。
ボス部屋だった所だが、コンビニにすることにした。
工事が始まった。
と言っても配線と床を張るだけだが。
トイレも一応作ったが、こんなのはすぐだ。
完成は6日後だ。
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俺の収支メモ
支出 収入 収支
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繰り越し 29,846万円
上級ポーション3個 915万円
彫像10体 10万円
カイザーウルフ60体 4,500万円
ドッペルオーク12体 600万円
シャーマンオーク12体 720万円
エンペラータランチュラ12体 1,056万円
メイズスパイダー12体 1,020万円
エレファントスレイヤー12体 1,440万円
コンビニ開業費用 300万円
コンビニ改装 2,000万円
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計 2,300万円 41,107万円 37,807万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -74億円
スタンピード積み立て金 110億円
コンビニは別会社になっている。
ダンジョン関連事業とは言い難いからな。
俺はオーナーという立場でノータッチにするつもり。
仕事は全部、雇った店長に丸投げだ。
儲けは俺の小遣いかな。
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