第19話 部屋が売れた
インターホンの音で目が覚める。
ダンジョンには窓がないので時間の感覚がない。
これも要検討だな。
そんな事より。
「何かありましたか」
俺はインターホンに出た。
「スキルが芽生えています」
興奮した様子の
「今行きます」
そしてぴょんぴょん飛び跳ねている。
嬉しいんだろうけど、ちょっと落ち着いて。
色々と当たってる。
「落ち着いた?」
「みっともない所をお見せしました。芽生えたスキルが嬉しかったものですから」
「どんなスキルなんだ?」
「マジックアイです。魔力が見えるんですよ」
「ほう」
なんかハズレスキルのような気がするが、まあ研究者なら垂涎ものなのかも知れない。
「浮気レーダーが反応したと思ったら、いちゃついてる! こんなこと駄目!」
そう言って、
「いちゃついてはいないぞ。
「何も抱き合わなくてもいいんじゃない」
「それは俺もちょっとやりすぎだと思った」
「すいません。新発見があるとああなってしまうのです」
「とにかく誤解だ。それで
俺は場の雰囲気を誤魔化した。
「あなた達はどうでしたか」
「よく考えたら、俺もリフォームスキルはひと晩ぐらいだ」
「私も1日ぐらい」
「Sランクダンジョンとその周りの魔力濃度では、そのぐらいみたいですね。まだデータ数が足りませんから、大学の学生を雇ってデータを取りたいと思います。それでこの部屋を買いたいのですが、おいくらでしょうか」
「5千万円」
吹っ掛けてみた。
「1泊5万円とるとして約3年で元が取れますね。この部屋なら悠々3人は泊まれますから、1年で元が取れます」
「商売するんですか?」
「ええ、スキル覚醒塾を開きたいと思います。今まで座学でその塾の用意をしてきたのですが、1日で覚醒するのなら手っ取り早いです。データも取れますし」
俺もその商売をすべきだろうか。
まだ慌てることはない部屋数はいくらでも余っている。
会社を作った。
ダンジョン分譲コーポレーション。
略して
『ダンジョンの事なら分かっちゃう♪ ダンジョン住むなら
最初の大口取引として5千万円が手に入った。
俺は冒険者協会で大規模に間引きの募集を掛けた。
応じてくれたのは3組だけ。
そのなかに
あとの2組は、どらにゃんの尻尾と灼熱の剣の2パーティ。
どらにゃんの尻尾は猫好きの集まりだそうだ。
猫型のモンスターを狩らないことを信条としている。
男3人と女3人の構成だ。
パーティリーダーは
いかにも猫が寄って来そうな名前だ。
3人がAランクでふたりがBランク、残りのひとりがCランク。
灼熱の剣は男4人のパーティ。
4人ともAランクだ。
パーティ名の由来を尋ねたら、あれだよあれ、分かるだろ、握ると熱くてこすると白いマグマが噴出する奴だと答えが。
ああ、下ネタか。
リーダーの俺を見る目が艶っぽい。
もしかしてLGBTの方ですかと言ったら、女も男もいける口だと答えが返って来た。
リーダーは
「では皆さん、よろしくお願いします」
全員からよろしくと答えが返ってきた。
ダンジョンというのは異空間に存在する。
従って外に電波は届かないし、階層をまたがっても届かない。
俺と
もし、モンスターにやられそうになったら駆け付けるつもりだ。
部屋には番号が振ってある。
地図があるので、部屋番号を言えば駆け付ける仕組みだ。
ちなみにGPSの電波も当然届かない。
だが、俺の相棒の
迷うことはない。
通路の移動はスクーターを使うことにした。
使える物はなんでも使わないと。
そんなこんなで部屋の掃討作戦が始まった。
それでもスキル2つは持っているから、Cランクに比べれば雲泥の差だと言っていた。
俺もそのうち冒険者協会に登録しようかな。
お前さんならAランクは軽いと
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俺の収支メモ
支出 収入 収支
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繰り越し 721万円
分譲販売 5,000万円
スクーター2台 48万円
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計 48万円 5,721万円 5,673万円
相続税 2,000万円
示談金 3,000万円
遺産(不動産) 0円
ダンジョン -98億円
初めてマンションが売れた。
しかし、
俺なら1ヶ月住んでから決める。
それとも1ヶ月のうちに、全部部屋が売れるとでも言うのかな。
そういう目があるなら嬉しい。
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