第30話 メロスとの死闘

フフフ!


魔将軍メロスと名乗るダークエルフは不敵な笑みを浮かべている。


「よくも!何の関係も無い会社の人々を!赦さん!」

俺は金色のハサンの実を食べる。


「ノウマクサーマンダー

ヴァーサラダーセンダー

マーカロシャーナーソワタヤ

ウンタラターカンマン!!

轟天せよ!大日大聖不動明王!!」


辺りに立ち込めるまばゆい光!


俺は大日大聖不動明王へ瞬天化身する。


「鏑木さん!」

「おおぉ」


課長は涙を流しながら、俺を拝んでいる。


三鈷剣を振りかざしメロスと対峙した瞬間にメロスは素早い太刀筋で襲いかかる。


うお!


ガキーンッッ!


受け切れず、三鈷剣から逸れた刃は俺の肩口に!


咄嗟に交わすも法衣は斬られて血がにじんでくる。


「そんなもんか。お前の力は。

お前に罪は無いが、お前の祖先を恨むんだな」


祖先?

何の事だ。


クソッ。それよりここで皆を守りながら戦っても勝ち目が無い。


よし、駄目元で交渉だ。


「場所を変えるぞ、これ以上会社の人を巻き添えに出来ない。お前も俺と本気の闘いをしたいだろう。」


そう提案する俺にメロスは吐き捨てるように


「馬鹿か。こちらの優位をむざむざ捨てるか。お前の会社の同僚の人間なんざどうでもいいわ!仲間と共に死ね!」


クソ!駄目か。脳筋タイプではなく、理で動くタイプだな。


「任せて雄一!転移魔法を使うわよ!」

気づいたら横にピーニがいる。


よし!三鈷剣を十字に構えて印を結び呪言を唱える。


『オン・キリキリ・バザラ・ウン・ハッタ!』


ピーニの魔法と合わせてメロスを縛る!


「ぐは!何を!」

動かなくなるメロス。


「瞬間転移!トランプシンドローム!!」


大きな光が辺りを包む!!


その瞬間、魔将軍メロスが自発的に魔法縛まほうばくを破り、瞬間的に魔法を繰り出す。


き、極限魔法の類だ。

こいつ、魔法も使えるのか!


「死ねぇ!極限魔法ロケハントレインチョウトッキュウ!!!」


俺とピーニの魔法と奴の極限魔法が相殺され大爆発が起こる!


ん?

あれ?


俺は空間転移で、場所を上空に映し闘いを継続する筈だった。


あ、あれ?

頭がボワーッとする。


ん?ここは?


俺は雪の世界を歩いている。

寒い。


あれ?どこに向かってるんだ。


え?ここは?


あれ?

俺は誰だっけ?!


俺は全ての記憶を失って

見知らぬ地の雪の世界の森を彷徨さまよっていた。


続く

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