第2話 大魔司教ガリウス
横浜ワールドポーターズの屋上にいるのは、
その髑髏の頭には二本の悪魔的角が象徴的に生えている。
『こいつだ!』
直感的に思った。
「何故、横浜の街を火の海にするのだ?!」
髑髏の男に尋ねる。
髑髏の顔は気付いたかと、こちらを振り向き、こう言い放つ。
「貴様?!今回聖騎士か?まさか?!この世界にも聖騎士はいるのか?!」
聖騎士?!何の事だ?
「聖騎士?何の事だ?!お前の名は?目的は何だ!」
髑髏の男は「クク……」と笑う。
「冥土の土産に教えてやろう!我が名は大魔司教ガリウス。邪神阿修羅様の復活の為に、お前の命と横浜の住民を根絶やしにしてくれる!」
大魔司教ガリウスは、杖を振るうと沢山の魔物が杖から出た亜空間から出現してくる。
奴は魔物の事をアヤカシと言う。
今回奴が召喚したアヤカシは、
1つ目の巨人=1つ目タイタンと、人型の身体に顔が鳥の巨人アヤカシ=バーディー。
「行け!バーディー!1つ目タイタン!聖騎士を殺せ!私は一旦引かせて貰う。この二匹のアヤカシをお前は倒せるかな?
フハハハハ……!!」
大魔司教ガリウスと名乗る男は笑いながら消えていく。
二匹の巨大なアヤカシ。
か、勝てるのか?
ノリで不動明王になったけど、
だからって勝てるのか?
『三鈷剣を振るえ。アヤカシを浄化する霊剣が、その三鈷剣だ』
また声が聞こえる……。
何で?俺は家族で旅行してただけなのに。
三鈷剣を持つ。しかし雄一が闘いに気乗りしていないが故に三鈷剣は光らない。
バーディーは「クェェ」と異様な鳴き声を出しながら鷲爪で雄一の肩を掴んで飛び上がる。
「う、うぁァァァ!痛い、痛いィイ!」
やっぱ俺はダメなんだ。
それに、何でこんな目に。
人間調子のいい時はポジティブに考えるが、緊急事態になればなるほど魂の熟練度が出るもの。
三鈷剣は、どんどん光を無くしていく。
その間、バーディーは上空に急上昇で飛び上がり、雄一の身体を放す。
「うァァァ!」
『飛ぶんだ、雄一。お前は飛べる。』
そうだっけ?さっきは無我夢中で飛んだけど、どうやって飛ぶんだっけ?
あー!落ちる。
ゴキッ!!!
落ちる瞬間、1つ目タイタンの大きな棍棒が雄一目掛けて振り抜く!
「ゴボッ!」
血反吐を吐きながら吹っ飛ばされる雄一。
不動明王の化身の姿が段々透明になり、雄一本来の姿に変わりつつある。
意識を無くし、動く事が出来ない。
『このままでは雄一が危ない。』
声の主は、雄一に乗り移った。
立ち上がる不動明王。
その目は赤く異様に光り輝いている。
・・・・・・・!!
1つ目タイタンとバーディーは顔を見合わせる。
異変を察知したようだ。
しかし、その瞬間に
俊敏な動き。高速な動きを見せ、
三鈷剣で一刀両断。
シュパーン!
1つ目タイタンの首は宙に舞う。
ブッシュッッ!!!
血飛沫を上げて倒れる1つ目タイタン。
「ギョギ?」
急に立ち上がり、段違いな動きを見せる不動明王=雄一にバーディーは、逃げる動作を見せる。
しかし、飛び立った瞬間に網に掛かったようにバーディーは動けない。
不動明王緊縛術だ。
目から鋭い、それはもう威圧的な眼光なので、バーディーは動けないのだった。
悠々と、バーディーの目の前に立ちはだかり袈裟斬りに両断する。
「ぶべらっ!」
バーディーは断末魔を上げて切り捨てられる。
1つ目タイタンとバーディーの遺体は金色の光の粒子となり消えていく。
大魔司教ガリウスとは何者?
邪神阿修羅とは?
光の声の主は?
不動明王からの化身が解け、
裸のまま倒れる雄一。
横浜市内強襲の脅威は一時的には去った。
しかし、まだ多くの謎を残すのである。
次回へ続く
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