ヒロイン視点

「✕✕✕✕✕✕」【私達は以心伝心の間柄です】


 そうだっけ……コミュニケーションすらまともにできてないのに……


 いや、心を通わせるのに言葉は必要じゃないのかもしれない。


『ある程度仲良くなった、とは思っています』

「✕✕✕✕✕✕」【次の会話文から私の想いを7文字で抜き出しなさい】


 急にテスト……


 ……


 翻訳されるから7文字で抜き出すのは難しいと思うけどなぁ……彼が想定している7文字が韓国語で7文字とは限らないけどなぁ……


「✕✕✕✕✕✕」【今日の天気はイワシです】

『イワシが降ってくるんですか……?』

「✕✕✕✕✕✕」【Aは言いました。これで宇宙帝国に攻め込めます】


 イワシで……? イワシで宇宙帝国に攻め込むの? 他に用意するもなかったの?


『宇宙人は……イワシが弱点なんですか?』

「✕✕✕✕✕✕」【時速60キロで動き、野球のルールは理解していません】

『そ、そうなんですか……』


 久しぶりにまったく理解できないこと言われた。最近は割と円滑なコミュニケーションができていると思っていたのに……


 ……

 

 今さらだけれど……彼の翻訳ソフトの設定……なにか間違っているのではなかろうか。まぁ、面白いから良いけれど。


「✕✕✕✕✕✕」【よってまたしても、仮にだとしてもそうです】


 わからん。難解過ぎる。


『……宇宙人と野球で勝負したら、どうなるんでしょうね……』

「✕✕✕✕✕✕」【ウィリップ高村の活躍。相手の勝利】

 

 ウィリップ高村さんが宇宙人なのかな……それとも宇宙人視点で話してるのかな……


『世界代表は……どうやって選ぶんでしょうね』


 オールスターみたいな感じで、人気投票?


 ……そもそも、なんで宇宙代表と戦っているのだろう……なぜ戦う必要があるのだろう……


「✕✕✕✕✕✕」【完全にランダムであり、】


 なぜ読点で終わった?


 というより……


『ランダムで選ばれるんですか……? 選手の中から?』そんなので、勝てるのだろうか……『ちゃんと選んだほうが良いのでは?』


 選手の中からランダムならある程度戦えるだろうけど……そのランダムの範囲が一般人を含んだら?

 下手したら赤ん坊とかがピッチャーになる可能性が……


「✕✕✕✕✕✕」【選ばれたメンバーによっては、地球は消滅します】

『そんなピンチだったんですか……』


 ちょっと交流を深める程度の野球だと思っていたのに……


『なおのこと、メンバーは選んだほうが良いですよ……』


 ヤジがすごそう。ランダムで選ばれてしまった人がかわいそうだ。


「✕✕✕✕✕✕」【ここで問題に答えよ】

『問題……?』


 ……


 あ、次の会話文から私の想いを7文字で抜き出しなさいってやつか。


 まさか本当に問題として出題されるとは思っていなかった。


 マズい……あんまり会話を覚えてないぞ……


 7文字……7文字……7文字で記憶している言葉といえば……


『……ウィリップ高村……?』


 ……


 絶対違う……

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