主人公視点

「おはようりんさん。今日も暑いね」

「✕✕✕✕✕✕」【それは◯◯◯◯◯です】


 放送禁止用語返された。


 ……なんで……? なんで今日の気温について言及したら放送禁止用語が飛び出してきたの? 

 テレビだったらピーって音が鳴ってる。漫画とか小説だったら◯◯◯◯◯で表記されてる。


「あ、あの……あんまり、そういうのは……人前では……」

「✕✕✕✕✕✕」【◯◯◯◯◯は◯◯◯◯◯ですか? 私の◯◯◯◯◯】

「ダメだって……ちょっと、ストップ……」


 下ネタがすごい。ドン引きするレベルである。このスマホの画面は、絶対に他人に見られてはいけない……


「✕✕✕✕✕✕」【◯◯◯◯◯……◯◯◯◯◯は◯◯◯◯◯の◯◯◯◯◯?】


 止まんねぇ……美少女の下ネタが止まんねぇ……

 しかし止めなければ……なんとかしないと……このままこの美しい顔から汚い言葉が連呼されるのは避けたい。


「あの……せめて、抽象的に濁したほうが……あれ、とか、それとか……」

「✕✕✕✕✕✕」【◯◯◯◯◯? あれは◯◯◯◯◯?】

「具体的すぎるって……」


 恥ずかしくなってきた……変な気分になってきた……誰か助けてくれ……


 ……というかりんさん……下ネタ好きなのか……? 真顔で……真顔で下ネタ言わないで……


「✕✕✕✕✕✕」【◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯】

「いや、あの……だからね……あの」

「✕✕✕✕✕✕」【あなたの◯◯◯◯◯は◯◯◯◯◯? ◯◯◯◯◯の◯◯◯◯◯は◯◯◯◯◯?】


 エグすぎるって……人間に口から発せられて良いもんじゃないって……退学レベルだって……


 やべぇ……これアニメだったらほぼ全てピー音でかき消されてる……小説だったらほぼすべて◯◯◯◯◯ばっかりだ。手抜きだ。


「もうちょっと……もうちょっとごまかしてくれると、ありがたいな……」


 別に下ネタを言うなとは言わんが……さすがに直接的すぎる。具体的すぎる。もっと抽象的にごまかしてほしい。

 

「ほら……その……それとか……そんな感じで」

「✕✕✕✕✕✕?」【◯◯◯◯◯?】

「だから……◯◯◯◯◯をそれとか……◯◯◯◯◯とかさ……」

「✕✕✕✕✕✕」【◯◯◯◯◯を◯◯◯◯◯に?】

「◯◯◯◯◯はちょっと……◯◯◯◯◯はあれとか……」


 僕はなにを言っているんだ……なんでこんな下ネタを話しているんだ……

 なんで……こんな具体的な下ネタを連呼するんだりんさんは……


 わからん……彼女の考えがわからん。りんさんの視点では、この下ネタ会話は恥ずかしくないのか……?


 りんさん……下ネタ好きなのかな……僕は苦手なんだけど……


 しかしまぁ……人の好きをむやみに否定するものではない。受け入れるしかない。


 とはいえ……

 人前で言うのはどうかと思うぞ……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る