短編:婚約破棄された聖女は、王宮を「ドラゴン・ボンバー」で壊滅させます!

甘い秋空

聖女は、「ドラゴン・ボンバー」を落として壊滅させます!



「貴女との婚約を破棄する! 偽の聖女! アップル、お前を国外追放とする」

 何を言っているのですか、この間抜け王子が!


 言い返そうとした時、私を淡い光が包みます。


 ◇


「成功しました。異世界から、聖女様を召喚できました」


 誰? 何を言っているのですか? 

 私、聖女アップルは、ヨシダン王国の卒業パーティーに出席していたはずですが・・・


 私を包む淡い光が、消えていきます。


 長い金髪を後ろでまとめ、黒革のドレス姿のままですが、なぜか床の魔法陣の中央に立っています。


 ここは、礼拝堂? 私は召喚された?



 私は、美しい立ち姿で、周りを見ると、あれ? 

 最近、見た方々ですよね?


 周りの方々も、ザワザワし始めました。



 いや、貴方達は友好国ソウトンの王族たちですよね!



「国王陛下、半月ぶりですね、ご説明をお願いします」


「あ、アップル様!」

 国王が混乱するという珍しいものを見ました。


 私は、聖女として、半月前に、このソウトン王国の結界を張り直すため、この王宮に招かれました。



 そちらに立ち尽くしているのは、先日まで、我がヨシダン王国に留学していた第一王子様では?


「どういう事ですか? 第一王子ジェイジェーン様」


 貴方は、せっかく築いた両国友好関係を、破棄するのですか?

 学園で、イケメンでモテモテだったので、何か勘違いしてませんか?


「有効国の聖女を拉致するなんて、国家間の大問題ですよ」


「そんなつもりは無かった」

 第一王子が平謝りです。


「これは、私の花嫁とするため、異世界から聖女を呼ぶ召喚です」


「それが、なぜ私が?」



「召喚する際、好きな女性を想い浮かべる必要があった」


「は?」


「私は、アップル嬢が好きだった」



「好きなら、同級生だった時に言って下さい!」

 第一王子に向かって一喝します。


「貴女には、婚約者がいた」


 あ〜、私には婚約者がいたんだった。



 そういえば、私は、無実の罪で婚約破棄された所でした。


「さっき、婚約破棄されましたので、今の私はフリーです」


「え!」


「それでは、私の花嫁になって下さい」

 第一王子が、がっついてきます。



 この時、私の中で、私を縛り付けていた何かが、はじけました。



 まぁいいわ、どうせ、私は国外追放された身です。

 心配する家族もいないですしね。


 前のヨシダン王国は、結界を張れずに、困るでしょうが、関係ありません。



「いいわよ、ジェイジェーン」

「私が、名前を変えて、異世界の聖女を演じましょう」


「「ありがとうございます」」

 王族が、ひれ伏します。



 前の王国は結界が無いので、攻撃すれば、すぐに落ちますね。


「それでは早速、私の奥義「ドラゴン・ボンバー」を、ヨシダン王国に落としましょう」

 呪文を唱えます。


「あの~、ヨシダン王国は友好国ですが?」

「うっさい!」


「婚約破棄した者がどうなるか、貴方達も見ておきなさい」


 ◇


「大変です! 友好国に、たくさんのドラゴンが現れて、当国に応援の要請が来ました」

 騎士団長みたいなオッサンが走りこんできました。


「聖女様、我が国はどうしたら良いですか?」

 王族たちは、オロオロしてます。


「近くの兵を派遣して、風上から見てなさい、風上からよ」

 実質、トップに君臨した私が命じます。


 ◇


「兵からの報告です! 友好国の王宮と、その風下が、壊滅しました」

 騎士団長みたいなオッサンが走りこんできました。


「ドラゴン・ボンバーが落ちたのか!」

 王族たちは、オロオロしてます。


「はい、ドラゴンのウンチが大量に落とされ、王宮が埋まっております」


「ザマァ」

 私は、微笑みます。


「よし、そのままヨシダン王国を、実効支配しなさい」

「王国連合には、私から報告し、言いくるめます」


 テキパキと指示を出します。



「さて、第一王子ジェイジェーン様、貴方は婚約破棄なんかしませんよね?」


「も、もちろんです、女帝デラックス・アップル様」

 王族たちは、オロオロしてます。




━━ fin ━━



あとがき

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短編:婚約破棄された聖女は、王宮を「ドラゴン・ボンバー」で壊滅させます! 甘い秋空 @Amai-Akisora

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