3話 裏切り者には罰を、そしてデートが始まる。
おねーちゃんからのlimeを確認すると、文と一緒に写真も送られてきていた。
『優梨:やっほー、海里ぃ? お兄ちゃんとラブラブデート中だよ〜?』
は? デート?
スクロールして写真を見てみると、おにいと二人でストローのつながったカップルドリンクを飲むおねーちゃんとおにいが映っていた。
「ねぇ海里ぃ、受験当日の勝負下着これにしなーい? って、あんた、鬼みたいな顔してるけどどしたん?」
「お、おねーちゃんがおにいを」
「は? 元生徒会長がどしたの?」
一緒に下着を買いに来ていた柑奈があたしのスマホを覗き見る。
「あー、これは……お兄さんもちょっと頬赤らめて乗り気なのがポイント高いね」
「高いどころか減点だし!」
「ええー?」
おねーちゃんったら、柑奈とのデートまでは義妹戦争は停戦って約束だったのに……。
これは完全に条約違反だし……。
こうなったら。
「ねえ柑奈?」
「なーに?」
「今週末のデートなんだけど、やっぱ土曜日にしない?」
「え?」
✳︎✳︎
週末土曜日。
きょ、今日は……柑奈さんとのデートの日だ。
もちろん海里も一緒で3人でお出かけなのだが……俺としては姉妹以外の女子とお出かけなんて、中学生の財布事件以来のことだ。
「き、緊張してきた」
冬休み明けで少したるんでいた身体もスッキリさせてきたし、これなら柑奈さんに悪い印象は持たれないと思う。
大丈夫……大丈夫だ。
女性に不信感を抱いてしまうのは、まだ治ってはいないけど、柑奈さんはlimeのチャットで何度も会話をしたし、お互いの事情とかも知っている。
カンタくんにも柑奈さんのこといっぱい聞いておいたし、今日は久々に流行に沿ったファッションにしたから大丈夫だ。
柑奈さんと待ち合わせしてる駅前までは海里と一緒に移動するため、コートを羽織って玄関先で海里が出てくるのを待つ。
最初は日曜日の予定だったけど、急遽土曜日に変わった。
どっちにしても俺はVの配信くらいしかみる予定が無かったし大丈夫なのだが、俺の都合なんかよりも、二人は受験生だし、こんな1月の大事な時期にお出かけなんて大丈夫なのだろうか。
今日は同じく受験生の優梨も塾の徹底対策講座受けに行ってるのに……また海里と優梨の差が開かないといいが……。
「おにい〜、おまたー?」
海里はもこもこな茶色の裏起毛コートを羽織り、中は白の縦セーターに黒いハイウエストスカートというギャルファッション。
頭の上にはワンポイントでベレー帽を乗せている。
「あのさ、やっぱお前たち勉強した方がいいんじゃないのか?」
「なあにおにい? いざデート当日になってビビってんの?」
「び、ビビってねえし!」
「ならいいじゃん。おにいの苦手意識がなくなるように柑奈も気を遣ってくれるんだし、今日はのびのびしようよ?」
「か、海里……おう、そうだな
海里や柑奈さんは本気で俺の女性恐怖症を治すのに力を貸してくれる。
俺はそれに……応えたい。
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