始まりをいくつ数えた頃に

秋色

第1話 暁絵って子

 暁絵って、本当に何かを始めるのが好きなんだ。お隣さんというだけでそれにいつも巻き込まれるこっちの身にもなってくれ。

 しかも何やってもぶきっちょで全然ダメだし。おまけに飽きっぽいし。

 ゲームに凝り始めた事は数知れず。でも上手くいかなくなったら放り出す。ボードゲームでもスマホのソーシャルゲームでも同じだ。せっかく面白くなってきたとこっちが思い始めた所で、急に興味を失くしてやめたがる。

 手芸に凝り始めても、手作り感あふれるというより、どうやったらこんな風になるんだろうって感じのポーチやマスコット人形が出来上がる。その横には、「売り物になるよ」と褒められる程の俺の手作りポーチと女子に絶賛のマスコット人形。


 暁絵のおかげで器用な俺の隠れた才能は向上していくばかり。




 暁絵が何かを始めるのは、別に趣味に限った事じゃない。誰かを好きになるのもめちゃ早い。

 そしていつも運命の恋だと信じてやまない。それは小一の頃の隣の席の男子から始まり、以来、何度運命の出会いを繰り返した事か。

 かと言って、それが上手くいくはずもなく……。

 暁絵に可愛いところが一つもないってわけじゃない。よく見れば丸っこい目も鼻も意外と可愛かったりする。でもやっぱあのキャラが……。あのマイペースで突発的に行動に移すあのキャラが邪魔をする。幼なじみの史香ちゃんは一重まぶたの地味な女の子。でもそっちのほうが雰囲気良くてモテたりする。世の中ってそんなもの。

 でも暁絵は決してメゲたりしない。

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