新しいものは何故か惹かれてしまいますわ!
「これが件のモノでありますか」
「は、はぃ!火薬を良くしたので、威力も上昇しているはずですぅ!」
「見た目変わらないなコレ」
火薬の試験を何度も繰り返していましたものね。
なので爆発音が響いて何度魔物を呼んだことか。
警察の皆様には、お礼を差し上げましたわ。
ですが、これが出来れば格段に上がります。
魔物に多少のダメージを与えられるはず。
早速準備していますわね。
同じ銃を2丁。
的は鉄製の鎧。
金属製の鎧を貫けるのであれば大抵の魔物には効きますわ。
人であれば言わずもがな。
私、少しだけ興奮しています。
「悪いな、お前らじゃないとどうしても頼めなくてさ」
「マドレーヌ様、気になさらず」
「我々はあなた様の為に居ますから」
さて。
今回使う銃はフリントロック式と呼ばれるものです。
これは着火する手段の事ですわ。
先祖にマッチロック式、引き金を引けば点火、そして弾が撃ちだされる仕組みですわ。
次に、ホイールロック式と呼ばれるものもありましたが、騎士団の皆様曰く、「とても使いづらい」とのことでした。
そして、今使っているのがフリントロック式です。
良い点としては、仕組みはマッチロック式よりも簡単。そして、周囲に引火しないという事が挙げられます。
欠点も当然ありまして、何度か使用すると不発が起きてしまったり、最悪暴発しかねないなど多くの問題がありますわ。
銃本体もしっかりしたものにしないといけませんわね。
「準備はできたかー?」
そうマドレーヌが大きな声で問うと、彼は大きな声で返す。
まずは、普通の火薬を込めた銃。
今回の試験では、まず通常の火薬を使用したものをを使います。
次はラヴォアジエが開発したもの、という事になっていますわ。
ふふ、どうなのか楽しみですわね。
マドレーヌが旗を持っています。
下ろしたら開始ですわ。
今下ろされました!
銃声が辺りを響かせました。
威力を見るために鎧を回収。
ラファはどう下すのかしら。
「次を」
あっさり目ですわね。
もう少し見るかと思いましたのに。
当たった個所は胴。
狙いやすいのもありますし、致命傷も起こせます。
妥当ですわね。
次は本命の火薬を使ったものですわね。
銃を先ほどの方とは違う方が構えます。
旗が下ろされました!
先ほどとは異なる音!
響き方も異なりますわね。
威力はどうなのでしょうか。
箇所は同じ、胴です。
先ほどの物と比べると、貫いていました。
それどころか屋敷の壁に弾の跡が。
ラファはそれをマジマジと見ています。
そして、表情が明るくなり、ラヴォアジエの手を取りました。
「……素晴らしい!素晴らしいであります!ラヴォアジエ殿!」
「ふえ!?そ、そうなのですか!?」
「鎧を貫く威力!射程も恐らく伸びているであります!」
もしかすると、銃本体を改良してしまえばより威力が上がるかもしれませんわね。
下手をすれば騎士どころか誰も彼もが銃を持つ時代が来るかもしれません。
そこには剣や槍も弓も無くて、見えない物が飛び交い死を待つだけなのかもしれませんわ。
同時にそれ用の防具も作られますわね。それを売れたら良いのですが。
「アンネ殿!どうでしたか?」
「アンネ様?」
私は何故か、恥ずかしながらも大笑いしてしまいました。
ですが、それはどこか清々しいものでしたわ。
――ナロウ歴1785年6月6日
通常の火薬と比べ、威力が増加していることがこの実験で証明される。
王国、土地税を可決。発布。
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