【声劇台本】彼女の最後のビデオレター【男1女1劇台本】

ゆる男

第1話彼女の最初の出会い


まゆ:……さよなら


涼真:俺は彼女から送られた動画を閉じる


涼真:彼女から貰った宝物のような思い出は俺の胸に残り続けていた


涼真:感謝の気持ちと、笑顔でいることと、前向きに生きること


涼真:彼女の人生の全てがこの動画に収められているようで、俺はそれを噛み締めている


涼真:これが彼女の最後のビデオレター





0:病院にて


涼真:はあ〜最悪だ。階段から転んで左腕骨折だなんて運が悪い


涼真:まあ、入院してる間は勉強出来るし気長に待つかなー


涼真:あ、大丈夫ですか?荷物持ちますよ?


涼真:いえ、俺は大丈夫です


まゆ:……お?


まゆ:……んーいいこと思いついたかも!


涼真:はあ〜入院生活も暇だなー


まゆ:ちらっ


涼真:ん?


まゆ:ひゅっ!


涼真:なんだ?あの子


まゆ:あっはは!


まゆ:先生、私、彼氏いるんだけど、最後の思い出に外出させてよ


まゆ:え?ほ、ほんとだよ!今度連れてくるから!


0:2ヶ月後


涼真:よーし、やっとリハビリが終わったぞー。これで俺も自由だ


まゆ:わっ!


涼真:うわあー!え?なに?


まゆ:びっくりした?


涼真:びっくりしますよ


まゆ:だよねー!


涼真:急になんですか?


まゆ:急に?なんだろうね?


涼真:はあ?


まゆ:でわ、出発進行しまーす!


涼真:ちょっ!冒頭から激しすぎですよ!


まゆ:あ、先生、この間言ってた彼氏と出掛けてくるね


涼真:か、彼氏!?


まゆ:合わせて


涼真:か、彼氏!


まゆ:よく言えましたー


まゆ:んじゃ、行くよ


涼真:ど、どこに!


まゆ:どこまでもだよー!


涼真:どういうことだー!




涼真:ここはどこなの?


まゆ:ん?海だよ


涼真:なんでまた海なんか


まゆ:空気が美味しいから


まゆ:いやーごめんねー彼氏とデートって言わないと外に出してくれなくてさ


涼真:なんで俺なんだよ


涼真:しかも、君、俺の病室覗いたりしてたでしょ?


まゆ:うん、覗いてた


涼真:それも俺を彼氏役にしようって決めてたから?


まゆ:うん、そうだよ


涼真:薄情な人だなーそれで俺をこんな振り回して


涼真:俺だって暇じゃない、帰って勉強しないと


まゆ:そんなの後でも出来るでしょ?


涼真:悪いけどそれはバカの考え方だよ


まゆ:なに?その言い方。感じわるっ


涼真:悪かったね


まゆ:もう、久しぶりの外の空気たっぷり堪能させてよ


涼真:・・・はぁしょうがないなー


まゆ:わーい!さすが彼氏役!


涼真:彼氏役って……キッパリ言うなよ


涼真:それにしても、なんで外に出たかったの?


涼真:先生から外出許可も出ないくらい君は問題児なのか?


まゆ:違うよ!初対面でどんな印象持ってんの!


涼真:君にだけは言われたくないね


まゆ:まあいいや、んー問題児っちゃ問題児かもだけど外に出ちゃいけない理由があるの


涼真:何?


まゆ:病気持ちだから


涼真:病気?君が?どう考えても元気じゃないか


まゆ:その通り!!私は元気なのです!!


まゆ:なのにあのクソ丸ハゲ親父が外出させてくれないの


涼真:先生になんてこと言うんだ


涼真:そんなに重病なの?そんな風には見えないけど


まゆ:うん、明日死ぬかもね


涼真:何をそんな冗談を


まゆ:ほんとだよ?『先天性心神経』(せんてんせいしんしんけい)って知ってる?


涼真:聞いたことないね


まゆ:だろうねー


まゆ:私は今16歳なんだけどね


涼真:同い年か


まゆ:先天性心神経という病気は16歳まで生きられる確率は何パーセントでしょう?


涼真:わかるわけないでしょ


まゆ:正解は5パーセント


涼真:・・・5パーセント?


まゆ:うん、私はその5パーセントまで生きられた数少ない奇跡の人間なのです!


まゆ:ちなみに20歳まで生きられる確率は何パーセントだと思う?


涼真:わからないって


まゆ:0パーセント


涼真:・・・そうなんだ


まゆ:そうなんだって冷たい人だねこんなか弱い美少女にかける言葉もないの?


涼真:美は余計だと思うよ


まゆ:かける言葉きつすぎ!あははは!


涼真:君、本当に病気なの?


まゆ:うん、病気だし明日死ぬかもしれない


涼真:そんなに元気でいられるもんなのかな


まゆ:逆に君はなんで元気じゃないの?


涼真:僕は別に元気でいる必要がないからだよ


まゆ:なーにそれ、つまんない、君とは仲良くなれなそう


涼真:彼氏役に選んでおいて偉そうなこと言わないでもらえる?


まゆ:まあそうだね、君のおかげでこうやって海に来れたことだし


涼真:そりゃ、よかったね


まゆ:うん





まゆ:また・・・来れるといいなー


涼真:・・・


0:まゆの一瞬の寂しそうな顔に涼真はうろたえる


まゆ:名前教えて、私はまゆ


涼真:俺は涼真


まゆ:じゃあ、ライン交換しよう!また私を外に連れてって!


涼真:君ねー


まゆ:まゆって呼んで


涼真:ま、まゆ


まゆ:はい、なに?


涼真:なんでもない、もう言う気失せた


まゆ:交換してくれないの?


涼真:するよ!うるさいな!


まゆ:やったー!じゃあ写真撮ろ?


涼真:はいはい


まゆ:もっと笑ってよーせっかくなんだから


涼真:笑うのは苦手だよ


:2話に続く

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