2
「あの女は化け物だ」
彼はそういった。
私の友人がいなくなって何ヶ月かたった。
彼は、引きこもっていた時、ラジオで私の友人のことを聞いた。
自分の大学で、行方不明者がでた。
すぐに察した。あの女がやったんだ!!と。
その時、あの女に対する怒りが沸々と湧き上がった。自分をここまでダメにされたのに、あの女は罪悪感など微塵も感じず、今も人をたぶらかし、弄んでいる。
許せなかった。だから復学すると決めたらしい。
私も、友人のことを話した。
彼がおかしくなったのも同じだった。
「俺は、あの時。あの女と付き合ったとき。あの女の愛を知った。麻薬と一緒なんだよ。あの女の愛は強烈で、幸せになれる。そして、あの女の中毒になった瞬間。そう。あの女は次を探すんだ。もう、そうなったら心を、喰われて、あの女のことしか考えられなくなるんだ。」
なんでも、入学式のとき、あの女から道を聞かれた。そこから学科が一緒で仲良くなり、付き合った。
「あの女は、だれにもわたすものか。そう。あの女の近くにいる全ての人間がゆるせなかったよ。」
彼は、今にも吐きそうな顔をしてそう呟いた。今もあの女を見かけるたび、ぐちゃぐちゃにしたくなる、らしいが、復讐するために戻ってきた。そして、あの女の犠牲者の友人を探す手伝いをしてくれる。心強い。
彼が、友人の部屋は見られないのか?といった。
あいつの両親はどちらともいない。だから、何かあったらすぐ来れるように、わたしが合鍵をもっていたので、入れる。
‥‥。なぜ今まで彼の部屋にはいかなったのか。
それは、もし、彼が自ら死を選んだ。その証拠が見つかってしまったら私はあの女を殺してしまうかもしれないからだ。
「大丈夫だ。俺がいる。友人もきっと見つかる。だから、部屋をみに、行こう。」
彼は、とても優しかった。
そう。怖気付いてられない。
私は、友人の部屋へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます