第9話 困惑
「お前しゃべれるの?」
「はいにゃ」
「・・・」
どうやら幻覚や幻聴ではないらしい。私はホッとした。いや、ホッとしている場合ではない。
「なんでしゃべれるの?」
「なんでかにゃ?」
小丸も首をかしげている。
「どうやって言葉覚えたの」
「テレビにゃ」
「なるほど・・」
日がな一日、憂鬱な私は、カーテンを閉め切って一日中テレビをつけっぱなしにしていた。
「・・・」
しかし、やっぱり何か違和感を感じる。猫が二本足で歩いたり、しゃべったりするなんて・・。
「う~ん」
私はこれをどう受け止めていいのか困った。そんな私を、小丸はそのまん丸いキラキラした目で見つめている。
しかし、不思議なもので、一緒に暮らしていると、小丸が二本足で歩くのもしゃべるのにも慣れてきた。
「まっ、いっか」
よく考えれば別に困ることはなかった。私は新しい小丸を受け入れた。私は変なところだけ大らかだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。