夜桜さんは腐女子なんだから仕方がない!

黒月白華

第1話 夜桜沙耶華は隠れ腐女子

幼少中と私…夜桜沙耶華は女学園に通っており、おおよそ男性との接点は教師以外無かった…。


また、家が超の付くお金持ちの為、(というか親が政治家。)小さい頃からヴァイオリン、水泳、ピアノ、茶道、書道、ありとあらゆるものを習わされハードな日常を送っており、友人など1人もできなかった!!


それは私の見た目にも問題がある。けして自慢ではないが、女学校一の美少女だ。というか毎日女の子から告白をされた。もちろん丁重にお断りした。いつの間にか私のファンクラブもできていた。先生さえも告白してきた。流石に生徒と教師の線は越えたくない。


と言うか…こんな生活を送っていたので男性には憧れた。でも恋愛の意味で…とは違った。


何故なら私は…隠れ腐女子だからだ!!


親に見つからぬようにこっそりネットで同人誌を取り寄せたり文学書のカバーで誤魔化しBLを堪能した!

学校では男性教諭同士を脳内でくっ付けて妄想し楽しんでいる!!


しまいにはうちの使用人の男性とかともたまに妄想したり、道で歩いてる他校の男達を見て妄想し、受けと攻めを瞬時に見極めたりしながら脳内で鼻血垂らしながら楽しんだ!!


次第に暇があればスマホでBL作品を自作した!!スマホなら見られないし。まだ投稿はできてないけど!!


そして中学を卒業して…私はついに親を言いくるめ、憧れの共学校への入学を果たした!!


しかも実家を離れて暮らすことにも成功した!!引っ越しはもう内心ウキウキだった!


春から!

共学校で!

リアルBL祭り開催だわ!!

ぐへへ!待ってて男子達!最高の受けと攻めで妄想し尽くしてあげるから♡


と私はついに共学校デビューした!!


桜舞い散る入学式の後…。

私は体育館裏に早速呼び出しを受けた。


1人の男の子が顔を真っ赤にして震えながら


「よ、夜桜沙耶華さん!!ぼ、僕、隣の席の月城昇と言います!!」

ああ、なんかさっき自己紹介で隣でボソボソ言ってた受けタイプの子ね?


「あの…いきなりこんなこと言ってごめんなさい!!好きです!一目惚れしました!!」

どストレートだわ。

まさか高校に入って最初に隣の席の子に告白されるなんて。明日から気まず過ぎない?あなた…。


というか、告白するのは私じゃなく、攻めにしてほしいわ。攻めだけにせめて。


私は顔色ひとつ変えず


「ごめんなさい。月城くん。流石に入学式の後で驚いてるわ」

と言うと月城くんは


「は、はいっ!もう振られるなら早い方がいいと思って!!」

振られるの前提で来るか!?


しかしこの月城くん、よく見たら肌艶は女の子並みにスベスベだし、まつ毛は長い方だし、サラサラな黒髪になんか可愛い系の男子だわ。これでついて無ければ女の子にも見えるわね。


「月城くん…」


「は、はい!!」

と緊張する彼に私は


「あなた…男の子に迫られたりしたことある!?」

と聞いてみた。


「えっ!!?」

月城くんはあっけに取られ、フルフルとなんか泣きそうになっていた。

これは!!

私の直感が告げた!


『これ…中学の時からめちゃくちゃ男に攻められたりしてんじゃねぇの!?』


「どうなの?」

と私は聞いた。


「うっっ、その…な、何人かからは男の子から……なんかよくふざけて触られたり…嫌な目に…」

何人かの男が群がり月城くんを複数で!?やだ…総受け!?

ああっ!脳内で大変な事になってるわ!月城くん!!いいわあなた!!


「月城くん…あなたと私は付き合うことはできないけど…あなたの事は評価しているわ」


「え!?ひ、評価って!?」

月城くんはキョトンとした。


「あなたは…逸材ってことよ!」

受けのね!!


「え?い、逸材!!?ぼ、僕が?な、何の!!?」

受け。これ以上ない受け。


「せっかく私達隣の席なんだし…このまま私があなたを速攻でフって毎日死にそうな顔で授業受けられるとこっちも罪悪感くらい抱くわ。席替えがない限り」


「あ、やっぱりふられちゃいますよね。勢いだもんな…」

と凹む月城くんに私は


「友達にならなってあげてもいいわ」

と言うと月城くんは震えて赤くなった。


「え!?そ、それって、本当にですか!?友達からスタートという事ですか?」

と言う月城くん。


「いえ、悪いのだけど異性に恋愛感情は全く持てないわ。ごめんなさいね…」

と言うと


「わあああん!やっぱりフラれた!!」

と泣き出したから


「まあ、私と友達が嫌なら今後話す事ないと思うけど…」

と言うと彼は


「えっ!?そ、そんなの嫌ですう!そんなことなら友達になって欲しいです!!」

と彼は泣きついた。


「仕方ないわね。では、改めてお友達という事でお願いするわ。月城くん」

と私は手を出した。


月城くんは私のスベスベの手を見て赤くなりそろそろと握ると幸せそうな顔をした。


私は…


クククク……まんまと友達ができたし…それに君は私の受けのオカズなのよ?大丈夫、今に素晴らしい攻めを見つけてあげるから安心して?

と言う腹黒い思惑に笑みを浮かべ更にキュッと握ると月城くんはビクッとして


「はあう♡♡♡」

と目をグルグルさせていた。

というか、次の日月城くんは休んだ。

何故だ。



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