第21話 孤児院攻略編②

 ラポーラは週に1回だけズーラとリンダが来る日が来た。いよいよ決戦だ。


 ラポーラはズーラとリンダに話があるとズーラの部屋にいき、3人きりになる。


「お時間いただきありがとうございます。」


「忙しいから早目にな。」


「はい。では、単刀直入に申します。この孤児院はズーラさんの持ち物で間違いないですね?」


「当たり前だ。私が前のオーナーから買ったものだ。」


「では、この孤児院を私に売って下さい。ここに3500万ウェルあります。」


 ラポーラは貯めたお金で買う事を最初に話する。相場は3000万ウェルいかないくらいだと商店で聞いたから間違いないと思う。リーファさんに調べてもらった買取り価格とも合う。


「馬鹿な事を言うな。もし売ったとしたら、私とリンダの収入がなくなるのだぞ。そんな話ならもう終わりだ。」


「待って下さい。いくらならお譲りいただけますか?」


「そうだな。8000万ウェルならいいぞ。」

 ズーラは無理だろうという感じでニヤニヤしている。


「わかりました。8000万ウェルですね。今後の買った後の資金として置いていたのですが、8000万ウェルすぐに払います。」


「な、なんだと。いや、やっぱりいくら積んでも無理だ。」

ズーラは慌てて言う。


「どうしてですか?そんなに子ども達が好きなのですか?」


「そうだ。俺は孤児院の経営にやりがいを持っている。子ども達の将来のために頑張っているんだ。」


ズーラは権威のあるような言い方で話す。


「では、これはどういう事ですか?」


 ラポーラはリーファに探してもらった孤児院の内訳表をだす。


「この孤児院には毎月子どもの割合でお金が入って来てますね。」

ラポーラは紙を見せる。


孤児院(定員10名)


1〜5名 一人につき10万ウェル

5〜8名 一人につき15万ウェル

9名  一人につき16万ウェル

10名  一人につき20万ウェル

主に食費、施設運営費と子育て職員2名、調理職員1名の給料の支払いに充てること。(管理者、事務には別途支給。)


「毎月今まで9名だった場合でも144万ウェルが入って来ているはずです。なのに毎月の食費が20万ウェルにとどかず、職員も1名少ない状況です。2人の給料も他より格段に安いですね。施設運営費も月額10万もかかっていません。しかも私が入った事で10名となり、お金が40万ウェル増えたにも関わらず何も変わっていません。残りのお金約毎月70万ウェルはどこに行ったのですか?」


 ラポーラは早口で一気に話す。前世の監査等のやり取りみたいだ。


「いや、毎月70万も残るわけがない。そ、そうだ残ったら積み立てをしている。綺麗な建物にするためにな。」


 ラポーラは新たなリーファさんからの情報を机に出す。


「もちろん積み立ては必要だと思いますが、どこにそんなお金がありますか?積み立ての場合は孤児院の管理ギルドに伝える必要と預金に残しとかないといけないそうですが、この帳簿には残金はほとんどありません。預金もほとんど残っていません。説明してください。」


「あーうるさい。お前はこの帳簿を何処から盗んだ。お金なんかどうでもいいだろう。」


「どうでもよくありません。子ども達が成長に必要な栄養や環境を整えず、自分の私利私欲に使うなんて言語道断です。」


「訳のわからない事を話すな。俺がもらったお金だ。俺の使いたいように使う。何が悪いんだ。子どもなんか、何もしないくせに。どんなところでも寝れたらいいんだよ。」


「そうですか。今の内ですよ。8000万ウェルで出て行くかどうか。」


「8000万ウェルなんかお前らがいたらすぐに貯まるさ。もっと食費も減らして外にも出さない。そうしたらバレもしないしいいな。はははははっ」


「そうですか。だそうです。」


ガチャとドアが開く。

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