優しい転生〜チート能力と前世のスキルで異世界を変える!?〜

望久弥

第1章  第1話 神様

「所長、お疲れ様でした。」

20代の部下から花束を貰う。

「ありがとう。」

私、安田聖司は今日で定年退職となる。



 今までの人生を振り返ると、大学からずっと社会福祉の中でのみ生きて来たなと思う。



 結婚もせずに、様々な福祉の仕事をしてきた。というか、結婚はしたかったけど、何故か出来なかった。それは別の話しとして…



 ただ、休みの日はラノベと漫画、アニメをこの年になっても辞められず、読んで、見て、異世界旅行を楽しむのが唯一の楽しみな時間だった。所長なんて言う役職についていたが中身は中二病だ。ま、他にも好きな事はあったが、これもまた別の話だ。



 これからは、福祉はボランティア程度にして、新たな生活を始めよう。等と考えながら定年した職場を花束を抱えながら出て歩いていると、70代くらいの男性が歩道のない道を渡ろうとしている。


 その時に反対側からは車が来てるのを見つけ、咄嗟にその男性を庇おうと花束を放り投げる・・・





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「ここはどこだろう?あれ?私は何を?」

辺りを見渡しても何もない真っ白な所だ。その時上の方から、さっき助けた70代くらいの男性が現れた。



 その70代くらいの男性はゆっくりと降りてきて、安田の前に降り立ち、心地の良い声で話し出す。


『先程は申し訳ない事をしてしまったのじゃ。私の不注意で神様の杖を下界に落としてしまい、それを拾いに下界に降りた際に安田さんに助けてもらい、死なせてしまったのじゃ。』




 なんだって。助けたのは後悔はないけど、まさか神様?杖に神様の杖て言う名前て…それを落としたってそんな事?じゃあここは天国?ま、ここは落ち着いて話そうと心に決めて話す。



「そうだったんですね。神様。お怪我は大丈夫でしたか?」



 安田は長年の福祉の経験から、自分の意思は二の次で表情にも言動にも出さず、話をするという事が染み付いている。よく、安田さんは仮面つけてる時ありますよね。と言われていた。素を出すと威厳がなくなってしまう。




もちろん楽しい時は楽しむし、なく時は泣く。今はその時じゃない。



『びっくりするのも当たり前じゃ。って、こんな状況の中、落ち着いておるのう。私は神様じゃが、人間だった頃は福祉の父と呼ばれていたらしいな。ま、死んでからだろうがのう。その話はいいとして、お主のおかげで怪我もなく戻って来れた。ありがとうの。』



「えっ、福祉の父と言われたって、あの糸○一雄様ですか?」



 福祉の父と聞いて、安田は大学時代に学んでいたあの有名な偉人を思い出す。安田はこの福祉の父の事を学びより福祉の道一筋となったのもやぶさかでも無い。



『そうじゃ。私の事を知っておるのか。下界にいた頃を神様が見ててくれて、死んでから福祉の神として下界を見守るようにとの事で、見守っておる。』



「そうなのですね。会えて光栄です。実際の年齢より随分年上に見えますね。」



福祉の父は50代で亡くなっているので、今目の前にいる70代くらいの姿より若いはずである。



『ま、それは、この見た目の方が威厳があるじゃろ。見た目も大切じゃ。見た目だけ見て偉そうな神だと思ってもらうのも第一印象で大切じゃからのう。落とした杖も見た目のためのアイテムじゃ。話はそれくらいにして、お主に私は申し訳ない事をしたので、償いとしてはなんじゃが、もう一度別の世界でやり直してみてはどうかと思うのじゃか?』



 見た目重視って…。その杖を拾う時に…確かに私も相談業務や面談の時には第一印象が大切だけど…安田はそれについて考えるのをやめ、後半の話に集中した。



 まさか、あのよく読んでいた異世界転生かな?60にもなってこんな物語ばかり読んでいいのかと思っていたけど、本当にあったとは。読んでたお陰で表情に出さないで済むな。



「別の世界とは、異世界ですか?やり直すということは転生すると言う事ですか?」



 安田はラノベではよくあるセリフを言えて、嬉しかった。


『そうじゃ。お主は物知りじゃのう。転生すると決めるのであれば。転生の際には前世の記憶もそのままに、それに加えて私から助けてもらったお礼を2つ聞いてあげよう。転生をしないのであれば、そのまま天国行きとなってしまう。天国は何もなくて暇じゃよ。』



 もう転生一択だな。転生は決定として、お礼として2つか。ここはよくラノベで読む、チートスキルやハーレムか、色々な選択肢があるな。


 魔法とか使えるのかな?色々と神様に聞くのも申し訳ないからな。そこははっきりと一つはそれとして、もう一つはラノベでよくある転生時のあの姿は申し訳ないから、それを2つ目として、神様に伝えてみよう。



「ありがとうございます。是非転生したいです。お礼もありがとうございます。一つ目ですが、何でも自由に生み出せる創造魔法なんか使えたらいいなと思います。2つ目ですが、転生の際、誰かの未来を奪うような誰かの記憶の中に転生するようなものではなく、実在しない想像されたある程度動けるくらいの年齢の体の中に転生したいです。」


 安田は、魔法のある世界に転生を希望と何でも作れる魔法の、ある意味2つの希望を一つのお礼として聞いてもらう事にした。



 二つ目のお礼は、よくラノベである、何歳の時にある人の命を奪ったように記憶が蘇ると言う話が自分の立場なら申し訳ないと思っていた。また、記憶が蘇る際の頭痛みたいな事も経験したくなかった。



 ラノベを読んでる者からしたら、経験してみたいと思うだろうが、安田はなんだか、その人の人生がなくなるのではないかと、申し訳なく生き続けるのが辛いので、2つ目のお礼をこれにしたのであった。



 果たしてそんな要望を神様は聞いてくれるのかな?



『なるほどのう。転生は決定したのう。2つのお礼じゃが、お主の優しさや豊富な知識からの答えじゃな。わかった。お主を魔法のある世界に転生させよう。2つ目のは、少し時間がかかるのう。とりあえずはお主の知識などはそのままで7歳くらいの一人でいても問題ないくらいの年齢の子どもを創造しようかのう。少し待たれよ。』



 そう言うと、何かテーブルの上に飲み物と見た事もない何か透明な袋に入ったお菓子の代わりに神様はいなくなった。それが創造魔法かな?なら、いいな。早くしたいな。

 


 飲み物は飲んでいい事だよな。それにしても、お礼2つともOKだとは思っても見なかったな。知識はそのままと言っても知識て、福祉とラノベくらいだけどやっていけるのか不安しかないな。しばらくしてから、神様が戻ってくる。



『待たせたのう。普通なら生まれた子どもに転生するのじゃが、今回のお礼として、2つ目のことじゃが、なんとかできたぞい。ま、大分先輩神様には怒られてしまったがな。安田さんには7歳の子どもに転生して貰う。いきなり人前に現れるのはびっくりさせてしまうので、人のいない所に転生してもらおう。転生してから、しばらくは生きていけるようにある程度の食料とお金も一緒に転生させよう。その後は好きに生きれば良い。他に聞きたいことはあるかのう?』



 なるほど。家族はいなくて一人きりか。そりゃいきなり誰かの前に貴方の子どもだよと現れたら相手びっくりするもんな。よし。頑張るか。


「色々と考えて頂きありがとうございます。ご迷惑をおかけしたようで。大丈夫です。転生よろしくお願いいたします。」



安田は落ち着いて答える。



『わかった。私の失敗のせいで申し訳なかった。では、新たな人生楽しんでくだされ。さらばじゃ。』



 神様が話すと同時に安田の体は光りとなり消えていった。


『いやいや、安田さんがどのような人生を歩むか楽しみじゃ。まさか、安田さんを異世界に行かせる為にした私の芝居だとは思ってないじゃろう。是非とも異世界で暴れてくれよ。』


 神様は微笑みながら安田さんを見送った。






〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜


読んでいただきありがとうございます。

初めて小説を書くので拙い文章ですがよろしくお願いいたします。進行速度は遅いと思いますので気長によろしくお願いいたします。

是非応援のコメントやご意見、よろしくお願いします。


星よければよろしくお願いいたします。


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