第14話 らしいこと 芽愛視点
「えぇ〜もっと一緒にいたいぃ〜」
「ははっ。僕も同じだよ。じゃあ今夜家泊まってく?」
「うん泊まる!」
大学前。もうすぐ来るはずの一馬くんのことを待っているんだけど……。
さっきからイチャイチャしてるカップルに目が止まって仕方ない。
多分その理由は彼女のボディータッチの多さが目立つからだと思う。
彼氏の腕に抱きついてみたり、頭をスリスリしてみたり、腰に手を回してみたり。
思い返せば、私はほぼボディータッチをしない。
イチャイチャしてるカップルを見てるだけでこっちが恥ずかしくなるんだけど……。
当の二人はピンピンしてる。
私もああ言う感じで、彼女らしくボディータッチした方がいいのかな?
この前の雨宿りの一件があり。予想以上に一馬くんは流されやすいってことがわかった。
私が相手ってこともあるかもだど?
あの無自覚でしてた嬉しそうな顔は忘れられない。
「ごめん。待たせた?」
「ううん。私もちょうど今来たところ」
一馬くんの顔じゃなくて、さっきのカップルに感化されて自然と腕や体に目がいく。
ボディータッチをするにしても。私にはこんな大衆の面前でする程の度胸はない。
平然を装って、人気のない道まで歩き。
そこでガッと勢いよく腕に抱きつく。
そうしたら絶対、またあの一馬くんがあの無自覚でしてる嬉しそうな顔になるはず!
「隠し事してる?」
少し歩いたところで。一馬くんはまだ人通りの多い歩道で突然足を止めた。
平然を装ってたはずなのに見透かされてる……。
私のことを毎日よく見てくれてるって思って嬉しいんだけど。
これじゃあしたいことができ、いや。
もうこうなったらやっちゃえ。
「ぎゅ、ぎゅ〜」
「……どうしたの」
ギュッと腕に抱きついたら、心配そうな顔を向けられた。
「嬉しい?」
「そりゃまぁ……嬉しいかと言われると嬉しいけど」
えへへ。やっぱりこの嬉しそうな顔好き。
「嬉しいなら心配なんてしなくていいよ。いい? こういうときはずっしり構えてればいいの」
「な、なるほどなるほど……。けど周りの視線が痛いのはどうすれば?」
「見せつけよ!」
今ならあのカップルの気持ちが少しわかる。
私は勢いのまま腰に手を回すと、一馬の体はビクッと震えた。
「本当にどうしたの」
「……彼女らしいことしたくて」
真剣な顔で聞かれたからつい答えちゃった。
「彼女らしいこと、か。俺からすれば芽愛ちゃんはすでにしてくれてるし、そんなことする必要ないと思うんだけどな」
「本当? 飽きて捨てない?」
「俺そんな冷たい男じゃないんだけど」
一馬くんは呆れたようにそう言い、私の手を引っ張って歩き始めた。
すぐさま手を繋ぎながら腕に抱きつく。
私は復縁する前とした今で別人のように変わった。
けど、一馬はそんな私のことを受け入れてカップルとしていてくれて本当に嬉しい。
絶対、苦しい思いをさせてしまったときのことを忘れるような、甘く最高な彼女……パートナーになってみせる!
【あとがき】
いつもありがとうございます
ブックマーク、★★★をもらえると嬉しいです!
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