二度目の夢はきっと

怖い夢を見た。


暗闇の中に君がいて、

今まで見たことないほどの

冷たい視線をこちらに向けている。


体が動かない。声も出せない。


そして疑問も弁明も投げられないまま

君に別れを告げられてしまった。



  待って…!



やっと声が出たと思ったら、

それは現実のものだった。

軽く上がった息と朝焼けの薄い光の中、

急いで隣を確認する。




「よかった…」


気持ちよさそうに寝息を立てる君が、

昨晩から変わらずそこにいて、

ホッと胸を撫で下ろした。



しかし…同じベッドの上で

こんなに慌てふためいているにも関わらず、

全く起きる素振りすら見せない。




暫く見ていると、モグモグと動く口。


何か美味しいものでも食べる夢を

見ているのだろう。


能天気に、そして満足そうに動く君の頬を

軽くつねって八つ当たり。



それでも起きない君の夢に混ぜてもらうため

布団に潜った。




自然と絡まってくる指に、

こちらまで頬を緩めながら、

君の温い体温に溶かされるように、

もう一度眠りについた。





おわり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る