詩「母。の夢」

有原野分

母。の夢

子供の頃 目。を閉じると「四角」、が見えた

色は分からない 質感も それがある空間も

ただ ぼんやりと 目。を離すことができず


それ は次第に膨らんで いまにも爆。発、

目。の前が大きく歪んで せまって 宇宙の

 ように 悪夢 のように 「


 ぼく。は泣いて 泣いて 目。を覚ます

その横に 幼いぼく。と (兄、と 姉、)そ 

 して母。 が眠っている。 」 光景


「四角」、はもしかしたら宇、宙かもしれない

 子供のときにしか 見つけられ ない

  一切を信じて いない 透明な 言。葉


母。を振り返る年になって 見なくなった、

悲しい宇、宙 身に染みる 寂しさ 母。は

真夜中の海。を何年も 何十年も――。ああ


堪えることの美徳 昭和 掠れた声は皴とな

 って 私たちのよき……、理解者となって

先導者 引っ張っていく ときに迷いながら


感謝の言。葉を 夢の続きを

 子供のときに見た「四角」、の夢は

  一体なんだったのだろうか。文、字とは


わたしは わたしは はは。 をはは。 を

はは。ははは。は わたしを どう思ってい

 たの だろうか 会いたい 。 ただ


脳梗塞。で入院していたと後に父、から聞き、二年ぶりに帰省した。思ったよりも元気そうだった母。の後遺症はなぜか(血)。 咳、


いつか言。葉が出なくなるように いつか夢

は思い出を繰り返し 幼い頃の川の字にな

 る親子の姿は、……抽象画。 いや、待て


はは。よ

わたしは

いつまでも、あなたの こ。


  胸が苦しい 胸が苦しい 胸が苦しい

 いつまでも 生きていたい と思えば思う

ほど 遠く あなたの 手のひらが 透けた


水のような 空、 に セキレイが 白黒の

 借家の庭に作った 小さな墓。 石、雑草

  、笑顔の写真が少ないのは 時代、か。


夕暮れは ぼく。は 夢に見たあの言。葉を

今でも忘れないように 目。の前の手 を繋

いで 繋ぎとめて 母。 が暗、闇に 消え

 ない、 ように――。

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詩「母。の夢」 有原野分 @yujiarihara

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