魔力適正ゼロの俺が大賢者になって勇者パーティに復讐するって話
ノヒト
最終節・魔王の玉座の前で。
――あぁ、さようなら俺の右腕。
きりもみ回転しながら、それでもしっかりと大賢者の杖を握り続けている右腕を見ても、痛みや喪失感を覚える前に、冷静に心の中でお別れを告げられた俺は、やはり何処か壊れてしまっているんだろう。
「今だケレル!!」
叫んだのは俺の右腕を斬り飛ばした剣士(♂)……あー、名前なんだったかな。剣の腕はホントに一流なんだけど。
「ケレルさん! トドメを!!」
各種身体能力上昇のバフ魔法を
「ここで消えてもらうぞ! 大賢者ぁッッ!!」
勇者の鎧(笑)、勇者の盾(笑)、勇者の兜(笑)を身にまとった壮麗な男は猛然と加速する。
肩書きだけの勇者に、最早名前なぞ必要ない。仲間(笑)の援護を借りて、その手の勇者の剣(笑)を大上段から振り下ろす愚かな勇者(笑)に、俺は我慢ならず笑いが溢れた。
「杖が無いと魔法が使えないなんて誰が決めたんだ?」
その場でバランスを崩し、勇者(笑)は俺の足元にヘッドスライディングよろしく滑り込んできた。
その顔は驚愕に歪んでいる。
そりゃそうだ。
いきなり両足が消えたんだからなぁ。
「右腕はワザとくれてやったんだよ。……勇者を殺すんだ。精霊サマ達に代金くらいは払わねぇとな?」
自分の両腿から溢れる鮮血と、青ざめる勇者(笑)の顔を見下ろしながら俺は背後の魔王に向けて振り返りもせずに言い放った。
「忘れんなよ? 世界の半分だぞ」
――これは、このシーンに辿り着くまでのお話し。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます