第12話 そんな彼女はめちゃくちゃ可愛い

「どれでも……」

「どれでもいいはなし」


「もっと露出の少ないものは……?」

「それでしたら、こちらのワンピース型なんていかがでしょうか?」


 ワンピース型に反応したのは、ソランとサファリだった。

 僕は一番露出の少ないワンピース型をソランが似合うと思うと推してやった。


 サファリは普段から僕をゴミを見るような目で見てくるが、今回はもう、複雑な心境なのか、僕が空気を読むように懇願したような目で見てくるので、オフショルダーのビキニタイプを勧めといてやった。最後に消去法になってしまったが、シェリーはビキニタイプになった。


「ダレル……この恨み覚えていろよ」

 ボソッと何かつぶやく声が聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう。

 人生で初めてサファリの悔しがれる顔が見れたのは、ちょっと嬉しかった。


 今まで脅されるだけだったからな。

 些細な仕返しだ。


「本当に僕なんかが適当に選んじゃって良かったのか?」

「いいのよ。ここの店にあるのはどれも可愛いし、せっかく普段着ないものを着るんだから、自分の趣味以外のものにもチャレンジしてみなきゃでしょ? それに……」


 シェリーが小声で僕の耳元で囁く。


「サファリはクソ真面目でいいんだけど、あの子も女の子なんだから少しは女の子らしさも覚えて欲しいんだ。私の護衛で一生終わるなんてつまらないじゃない」


 彼女はウィンクしながら僕の方を見てきた。あまりの可愛さにハートでも飛んできたんじゃないかと思ってしまった。彼女はシッシシと悪い笑顔を僕に向けてきていた。


 そんな彼女はめちゃくちゃ可愛い。


「今さらだけど、僕たちだけで海に行くなんて大丈夫なの?」

「もちろん大丈夫よ。それに一人で海になんて行ってもつまらないじゃない。みんなで楽しく遊ばなくちゃ」


「だけど……」

「うるさい! 男なんだから覚悟を決めろ! 私だって腹をくくったんだからな!」


 僕が気にしていると、サファリが吹っ切れたかのように大声で自分に言い聞かせるように話しだした。顔がいまだに悲壮感で溢れているので、空元気だろう。


 シェリーはそんな彼女を見ながらニヤニヤと笑っている。

 3人に水着が決まると、今度は僕の水着を買いに行ったが、こちらはすんなり決まった。彼女がお金をだすと言ってくれたので、一番丈夫で今後の研究にも使える魔力防御力の高い、魔法の水着にした。


 ちなみに、彼女のたちの水着にも簡単な防御魔法と、速度アップなどの補助魔法がかけられている。露出は多くてもその辺りがしっかりとしているのは、さすが公爵家御用達の服やなのだろうと思う。

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