第2話

「でさー、やーっぱあたし、ブルベだと思うのよ。新作マスカラ買っていいかな?!いいよね!ね?!藍川さん!」

「え……知らないけど……。」

「ちょっとサン!なに急に藍川さんに話振ってんの。」

「困ってんじゃんか〜。サンたまにそーゆーことするよな。」

「えへ、ごめんごめん。なんだかんだ藍川さん、ちゃんと返事してくれるからさぁ。」

もう〜なんて仲間の声を聞きながら、チラリと斜め前の席を盗み見る。

ほっそい体に白い肌、暗い青の重い髪。

あたしとは、ついでにアキラやミドリとは真逆の生き物。

(正直……めっちゃ好き。好きです藍川さん。真凛ちゃんって呼びたいです。)

藍川真凛はいつも一人イコール自分の芯があるって等式、あるんだよね。憧れの要因の一つなのかも。

(あたしは……いつも誰かといないと不安だからなぁ。)

アキラとミドリとのおしゃべりに戻りつつ斜め前の席の気になる人に意識のかけらを配った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る