大学⑤
4年生後半は卒論で忙しかったが、何とか提出を終えて無事卒業する事が出来た。
『ようやくだねぇ。』
偶然、浩香の大学も同じ日が卒業式だったらしく、今回はうちの両親だけが見に来ていた。
父も母も優しい目で僕のスーツ姿を眺め、大学の正門前で同じゼミの奴と写真を撮り合って大学を離れた。
中学や高校と違って、泣いているやつは一人も目にしなかった。
就職に備えて地元に戻り、卒業式の時の写真を眺めていたのだが、相変わらずの無表情な僕の隣りは紺色のスーツ姿の父とベージュのスーツを着た母だけだった。
(浩香と写っていない卒業式の写真って初めてだな……)
たかが一枚の写真なのに、こうも物足りなさを感じさせる浩香なんて大嫌いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます