大学②
結局、大学に入った後、実家に戻ったのは最初の年末だった。
父親に『正月くらい戻って来い。』と言われ、バイト先の店長に休みをもらって帰省する事になった。
久々の実家、久々の自室で寛いでいると浩香が遊びに来た。
『おかえり。久し振りだね。』
『ただいま。って言っても3日には戻るけど。』
『じゃあ初詣は一緒に行けるね。』
『あぁ。』
そんな会話を交わしながら、浩香は僕が座っている隣に腰を下ろした。
浩香は少し大人っぽくなったような気がした。
高校までであれだけ可愛らしかった浩香は、大学に行って大人の魅力をプラスしたようで、そんな浩香を世の大学生が放っておくわけがないと思った。
『大学はどう?』
『え?あー、まぁ普通。』
『何?普通って。』
『特に変わった事無いってこと。浩香はどうなんだ?相変わらずモテてるんじゃないのか?』
浩香は鼻の頭に皺を寄せて険しい顔をした。
『だから好きな人だけにモテればいいって前にも言ったじゃん。』
『ずっと前に言ってたのは覚えてるけど、それなら浩香からその好きな人とやらにアプローチすればいいんじゃないのか?』
『まぁそうなんだけどね。もうちょっと様子見てみようかなぁって思ってるから。』
『何だそれ?』
『その人から気付いて欲しいなってこと。』
浩香はニコッと笑顔だけを見せ、僕を余計に悶々とさせた。
訳の分からない事を言う浩香なんて大嫌いだ。
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