高校③
『浩香って王馬先輩と付き合ってるってマジ?』
これまでの人生で一番勇気を振り絞った質問だったように思う。
余程真っ青な顔をしていたのだろう。
心配してくれたクラスの人間が保健室に連れて来てくれたのだが、どこで話を聞き付けたのか、気が付けばベッドの横に浩香が座っていた。
心配そうな顔をする浩香に、俺は体調不良の原因となった質問をぶつけた。
『はぁ……それ本当に迷惑なんだけど……』
浩香の話では、確かに王馬先輩から告白はされたのだがきちんと断ったと。
断ったその場で先輩も納得した顔で去って行ったらしいが、翌日学校に来てみれば何故か自分と先輩が付き合い始めたという噂が飛び交っていたとの事。
『先輩が勘違いしてるのか?』
『ううん。友達伝手だけど、どうも先輩が意図的に噂を流したみたいなの。校内で噂になれば私も流されるだろうって……安易な考えよね。』
浩香は昔から自分をしっかり持っている子だ。
根拠の無い話には全くと言って良いほど流される事は無い。
『イケメンで爽やかで人気ある人だけど、結構ヤバい人なのか?』
『さぁ?興味無いから知らないわ。』
呆れたように溜息を吐く浩香の横顔が少し怒りを含んでいるようにも見えた。
だからと言って僕なんかに何か出来るわけでもなく、訊き出したのは良かったけど僕まで釣られて腹立たしい気分にさせられてしまった。
僕は浩香と違って流されやすい方だった。
人の感情を簡単に変えてくる浩香なんて大嫌いだ。
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