幼馴染なんか大嫌いだ

月之影心

生後①

 白いベビー服を着て、寝そべったまま並んで手を繋いで写る二人。

 無表情なままカメラをじっと見ているのは僕、宝城ほうじょう正斗まさと

 赤ちゃんモデルかと思える程の可愛らしい笑顔をカメラに向けているのは向かいの家に住む幼馴染の井藤いとう浩香ひろか


 僕より半年程早く産まれた浩香は、栗色のサラサラヘアに真っ白な肌、二重の大きな目と長い睫毛、口角の上がった口元と、良い意味で子供っぽくない綺麗な顔立ちをしていた。

 反対に僕はどこにでも居そうな顔立ちで、幼稚園の集合写真でも自分で自分が何処に写っているのか分からなくなるくらいに平凡だった。


 両親も我が子が可愛く無いわけでは無いのだろうけど、一緒に写真に写る僕と浩香を見ると、どうしても浩香の方が目立つし、その可愛らしさを褒めずにはいられないのだろう。


 この写真を撮られた記憶は無いけれど、この写真が実家にやって来た最初の記念すべき写真で、物心付いた頃以降の写真はいつも浩香と一緒に写っていた。

 うちの子でもないのに、僕の記念すべき一枚目の写真に勝手に入ってくる浩香なんて大嫌いだ。

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