第48話 ボコボコ

「今日も殴り合うか? あ? 」


 いつもの公園で今泉は語り掛ける。


 再び、岸本と今水と衝突したようだ。


 そして、また殴られるのかと確認するかのように挑発していた。


「相変わらず舐めた態度だな。痛い目にあったのを忘れたのか! 」


 今水の怒鳴り声が聞こえてきた。


「どうだか。忘れたな」


 今泉はあからさまにとぼける。


「こいつはバカで神経がイカれてるから仕方ねぇよ」


 岸本はニヤニヤしながらそう言った。


「なんだとコラァッ! 」


「ああ? やるかテメェ! 」


 今泉と岸本の怒号が公園全体に。響き渡る


 以前と同様に殴り合いが始まる。今泉も岸本も好き放題に拳や蹴りを繰り出す。


「岸本フォローするぜ」


 今泉の隙を突き、今水が拳を振り上げる。


「ぐぁ」


 今泉の口内から唾液が噴き出す。地面に唾液がビチャビチャ落下する。


「くそっ……。」


「オラァッ!」


今度は岸本が膝蹴りを入れる。


「ぐふぅ……」


 今泉の腹部にクリーンヒットする。


「いいぞ岸本。もっと殴れ」


「おう! 気持ちいいぜ~」


 今水の応援を糧に、岸本は更に攻撃を続ける。


「う……うう……」


 今泉の顔は既に腫れあがり、フラフラだ。


 それでも彼は倒れない。歯を食いしばりながら必死に耐えている。


「しぶてぇ野郎だな。おい! さっさと死ねやボケが! 」


 岸本はとどめの一撃のために勢いよく拳を振り上げる。


「おいおい。なんだ喧嘩か? 俺等も混ぜてくれよ」


 聞き覚えのない声に反応し、岸本は拳を止める。


 岸本の視界に、髪を金髪に染めた如何にもヤンキーで喧嘩慣れたした男が3人映る。


「おらっ! 何してんだよ? 早く続きしようぜ」


「ちっ……」


 岸本は舌打ちすると、渋々その場を離れる。


「誰だよお前等?」


今泉は突如現れた男達に質問する。


「あ? 俺等のことなんてどうでもいいだろ? とにかく殴り合うぜ! 」


「ぐっ」


 金髪の男達は蹴りやパンチを繰り出す。


 今泉、岸本、今水は各々きつく顔を歪める。多大な痛みを知覚したのだろう。


「オラ~。もっと楽しませてくれよ。あはははは」


 今泉をボコボコにしながら、リーダー格の金髪の男が高笑いをあげる。残りの2人も同じように岸本と今水をボコボコにする。


 喧嘩の実力に圧倒的な差があり、今泉たちはされるがままに殴られ続ける。


「なんか。騒がしいな」


 一方、晴斗は架純、祐希、千里、玲香と一緒に並んで帰路に就いていた。本日は男子バスケ部の活動はOFFであり、マネージャーの仕事は休みだった。


「気にしなくてもいいよ。どこかでやんちゃな人達が揉めてるんだよ」


「そうそう。うち達はそんな面倒ごとに巻き込まれずに楽しくイチャイチャしよ! 」


 珍しく千里が晴斗の左腕に抱きつく。千里の程よいサイズで弾力ある胸が理性をゴリゴリ削る。魅惑的な感触だ。本当におっぱいは男をダメにする。


「ちょ!? どうしたの? 橘さんらしくないね」


「別に。たまにはこういうこともしたいなって思っただけだよ。それとも迷惑かな? 」


「い、や全然。迷惑ではないけど」


「よかった。じゃあこのまま帰ろう」


「お、おい。晴斗の腕はあたしのポジションだぞ。生憎、右腕が空いているからいいが」


 晴斗と千里のやり取りを見た架純が、すかさず晴斗の右腕にしがみついた。


「えっと……ちょっと」


 架純の豊満なおっぱいが押し付けられる。そのせいで右腕がむず痒くなる。


「あ!? ずるい! 橘さんと雫さんのせいで晴君の腕が埋まったじゃん! 」


「あのさ……。私達も居るんだけど」


 今度は、祐希と玲香が不服そうな顔を形成する。


 祐希なんかギャアギャア不満を溢す。


「早いもの勝ちだよ! いつも負けてるからね! 」


 いたずら気にちろっと千里は舌を露にした。

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