第8話 風紀委員会での発表
「つい近日にある生徒が警察に電話し、いじめの首謀者である今泉俊哉が連行されました。しかし、被害者から話を聞いた結果、他にも協力者がいたそうです」
ザワザワと教室が騒がしくなる。現在、この教室では風紀委員の集まりが実施される。席には風紀委員会に所属する生徒達と担当教員が腰を下ろす。
1つ大事な報告があると、教壇に進んで架純は立っていた。
「その人物の名前は?」
風紀委員長の橋下が疑問を投げ掛ける。
他方の風紀委員も同じ疑問を抱いたのか。橋下の声を認識した後、架純に視線を集中させる。
「被害者の白中晴斗と同じクラスの
待ってましたといった形で。
即座にいじめの協力者の名前を、架純はフルネームで風紀委員全員に伝える。
熱か怒りかわからないが。
教壇に載る両手をきつく握り締める。
カキカキ。
風紀委員の生徒達はノートにいじめの協力者の名前をメモする。決して忘れないようにフルネームで。
「岸本直行と今水昇。この2人は普段通りに学校生活を送っています。今泉のように痛い目にはあっていません。まるで自身は無関係かのように学校生活をエンジョイしています。学校は動きをまだ動きを見せていないからこそ、できる行動ですね」
「なるほど。それは問題だな。それで俺達に伝えたいことはそれだけか? 」
橋下はすべて見通しているようだ。非常に優れた洞察力を所持する。
「いえ、それだけではありません。次の言葉が今回あたしが1番、皆さんに伝えたいものです。この岸本直行と今水昇。いじめの協力者にきつい罰を与えるべきです! でなければ、再びターゲットを選定し、いじめを行う可能性があります」
力説し、架純は自身の気持ちを風紀委員メンバーへ訴える。平時と同様に声は凛とし、その上ハリもある。
「なるほど。いじめの再発の可能性か。確かに、そうなれば我が校の風紀は大いに乱れるな」
冷静な態度を形成しつつ、何度か橋下は頷く。合点がいったのだろう。
「はい。風紀委員長のおっしゃる通りです。ですので風紀委員がいち早く行動すべきだと思います!」
「先生はどう思いますか?」
じっと腕を組みながら、黙って耳を傾ける担当教員へ、橋下は話を振る。目線だけ寄越しながら。
「うん、そうだな。雫の言う通り風紀委員は即座に行動すべきだ。学校の風紀を守るために」
架純の意見に担当教員は同意する。いじめに関する話は嫌悪しているのだろう。担当教員の表情は険しい。
「わかりました」
橋下は席から立ち上がる。
「先生からの許可も受けた。だからいじめの協力者である岸本直行と今水昇に罰を与えることが決定した。風紀委員が全勢力を掛けて、奴らに罰を与える。一同、全力で取り掛かるように」
威厳のある大きな声で、橋下は風紀委員メンバーへ命令する。全員の顔を視界に収めて。
「「「「「はい!」」」」」
元気ある風紀委員メンバーの返事が教室内に高々と響き渡った。その返事には一致団結があった。
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