第2話 知らない天井はあった
「勇者様お召し物をお持ちしますよ。」
突然、しゃがれた老婆の声が聞こえた。老婆はトンガリ帽子のようなものを頭に被り黒いローブを纏っていて、魔女のように見える。
ゆっくりと歩いて老婆は部屋から出ていった。
今いる場所は学校の教室くらいの広さで、床も壁も石畳で地下室みたいだ。天井は薄くて良く見えない。目が覚めて見知らぬ天井だってやってみたかった。
これって異世界召喚ってやつだよね。ただ全裸で呼び出されるとは聞いてなかった。
自分の手や身体を見てみるが、これが自分の身体なのかわからなかった。以前の記憶がまったくない。身体ごと召喚されたのか、魂のみ召喚されたのか・・。
神様がいる真っ白な空間もなかったな。こたつでミカン食べている神様のパターンでもなく、エロい女神様のパターンもなかった。残念なんて思ってない・・グスン。
当然チートスキルも貰ってないけど、どうなるんだ?
金髪美少女の言葉が日本語に聞こえたってことは共通言語みたいなスキルは持ってそうではある。
お尻がひんやりとして石畳を見ると、複雑な魔法陣が薄いピンク色に発光していた。何がどうなっているのかわからないが、魔法のある世界のようだ。
先ほどの老婆がメイドを伴って帰ってきた。やっぱり異世界はメイド!
ただ美少女メイドではなく・・お手伝いのおばちゃんって感じなのに失礼ながらも心底がっかりした。いや、希望は捨ててはいけないヤングでかわいいメイドもどこかにいるはずだ。最悪いないなら作ればいいのだ!
あれ?そういうことだっけ?
「どうぞ、お使いください。」
お手伝いさんから着るものを渡された。メイドと呼ぶには抵抗があるのでお手伝いさんに勝手に認定した。
粗末ではないが地味な服で、囚人服みたいとは言わないがこれしかないの?まあ文句言える状況ではないけどね。
「着替え終わりましたら、メイドを部屋の外に待機させますので、声を掛けてき下さい。」
老婆が言った・・。やっぱりメイドなのかよ!まあどうでもいいけども。
金髪美少女、老婆、メイドの順に部屋から出ていった。金髪美少女は服装からしても、貴族とか王族っぽい。行動順に身分の差が出ていたような気がした。
すばやく服を着た。思いの外着心地や肌触りは悪くなかった。
部屋を出て、お手伝いさんに声を掛けると「案内します。」と言って歩き出した。廊下も暗く石畳で地下のようだ。やはり階段を上って地上に出た。
お手伝いさんがノックしたドアは見たことのない装飾で、やはり高貴そうな雰囲気を感じる。
部屋の中の中央に応接セットに先程の金髪美少女と老婆が座っていた。
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