アフターストーリー
第56話 結婚式
今日は待ちに待った隆介と柚木の結婚式だった。
勿論真っ先に結婚するという報告を送ってもらった。
大学を卒業してもう二年の月日が経っていた。
あの二人は早いうちに結婚するんだろうとは思っていたけどこんなに早く結婚するとは思っていなかった。
「涼葉~準備できたか?」
「うん!ばっちりだよ一君。」
そういって部屋から出てくる涼葉
俺達はあの日から付き合い始めたのだ。
本当はすぐにでも同棲したかったがさすがにできなかったため大学を卒業してからすぐに同棲をして今に至ったわけである。
「じゃあ、行こうか。」
そういって俺は涼葉に手を差しだす。
涼葉はすぐに俺の手を取って握った。
「うん!」
こうして俺たちは隆介と柚木の結婚式場に向かう
あの時涼葉が俺のことを助けてくれなかったら訪れなかった未来
俺はこの一歩一歩をかみしめて生きている。
「結婚おめでとう。」
俺は隆介の控室に行って祝福する。
「ああ。ありがとな!一。」
白いタキシードを身にまとった隆介は嬉しそうに言う
「にしても、お前ら結婚するの早すぎだろ。」
「かもな。でもお前ももうそろそろ結婚するんじゃないか?」
「いや、でもなかなかプロポーズする勇気が出なくてな。」
「でも、月風さんならすっごい喜びそうだけどな。」
隆介と柚木は俺と涼葉が出会った少し後に紹介して驚くほどに短い時間で二人と仲良くなった。
まあ、昔より涼葉は明るくなったし話しやすくなったのもあるんだろうけど。
それに、違う次元の話も二人にしたが案外あっさりと受け入れていた。
「それは何となくわかるんだけどさ、一生に一度のプロポーズだからしっかりやりたいんだよ。俺は。」
「そうかい。俺達は一足先に柚木と幸せになってるよ。」
「はいはい、おめでとさん。」
そう言い残して俺は隆介の控室を後にする。
そして次は柚木の控室に訪れていた。
ノックをして部屋に入る。
「あ、一!来てくれたんだ!」
「もちろん。来ないわけないだろ?なにせ親友と幼馴染の結婚式なんだから。」
「そっか。」
「あれ?涼葉はどこ行ったんだ?」
「ああ。涼葉ちゃんならちょうど今隆介のほうに行ったよ。入れ違いになっちゃったね。」
「だな。」
「ねぇ一。」
「どした?」
「あの時は本当にありがとうね。」
「あの時?」
はて?いつのことだったか。
「うん。私が誘拐されちゃったときのこと。多分一が来てくれなかったら私は殺されてた。そしたらこんなに幸せになれなかった。だからありがとう。」
「なんだ。そんなことか、気にすんなよ。俺がしたくてしたことだし涼葉もいたしな。」
「そっか。てか!一はいつ涼葉ちゃんにプロポーズすんの!」
「いや、隆介ということが全く同じだな!?」
俺はこの後柚木に隆介よりも涼葉とのことを根掘り葉掘り聞かれた。
やっぱり女性はコイバナがすきなんだなぁ~
結婚式本番で俺はスピーチをして隆介と柚木を泣かしてやったりもした。
式の途中では隆介が柚木に指輪をはめるときに全身が震えまくっていたり、
誓いのキスをするときに柚木が恥ずかしくなって顔を背けたり、
ブーケトスで涼葉がありえない速度でブーケをキャッチしたりしていた。
なんやかんやあったが幸せで楽しい結婚式だったと思う。
「ねぇ、一君。」
隆介と柚木の結婚式が滞りなく終了し俺と柚木は二人で帰路を辿っていた。
「どした?涼葉。」
「一君はいつになったらプロポーズしてくれるのかな?」
ニコニコしながらいきなりそんなことを言う涼葉
コノコハナニヲイッテルンダ?
「え、ちょ、は?」
「そんなに焦らなくてもいいじゃん。」
「その、」
「あ、いいよ。柚木ちゃんに話は聞いてるから。」
「いや、あいつなんで話してんの?」
あの野郎勝手に言いやがった。
と、俺が考えているとスマホが振動していた。
画面を確認するとそこには柚木からメッセージが一件
{てへぺろりんちょ}
柚木の野郎なめやがって、、、、、、、、、
「柚木ちゃん聞いたらすぐに教えてくれたよ?」
あいつ口軽すぎんか?
今度から大事な話を柚木にするのはやめよう。
そんなことを心に誓っただった。
「じゃあ、もう少し待ってくれるか?」
「うん。いつまでも待ってるね!一君。」
そのときの涼葉の笑顔は今までで一番かわいかったかもしれない。
俺はこんな涼葉の表情をもっと見ていたいと思った。
…………………………………………………………………………………………………
「よお!一。月風さん!」
「ささ、入って入って!」
俺たち二人は結婚式の後に隆介と柚木に招待されたため二人の家に足を運んでいた。
「お邪魔します。」
「お邪魔します!」
俺達は二人に促されるまま二人に家に入った。
大学を卒業してから忙しかったため二人の新居にお邪魔するのはこれが初めてだった。
「はい。これお祝い。」
俺はそういって隆介に袋を差し出した。
「わざわざすまないな。ありがとう!」
「ありがとね!一。」
二人は嬉しそうに一に礼を言う。
「俺と涼葉の二人で選んだんだ。喜んでもらえると嬉しい。」
俺と涼葉が選んだのはペアのマグカップだった。
「それはそうと、柚木、お前なに本人に言っちゃってんの?ふつうああいう事は言わないよね!?常識的に考えてさ!」
俺はさっきのプロポーズの話を柚木に問い詰めることにした。
「いや、だって涼葉ちゃんに聞かれたんだもん。」
「だったらお前は何でもかんでも聞かれたら答えるのか!?」
「いや、そうじゃないけど、」
俺が柚木を問い詰めてくると隆介が話に入ってくる。
「おい、柚木お前いったい何やらかしたんだ?」
恐る恐るといった様子で隆介は柚木に問う。
「いやね?涼葉ちゃんにいつプロポーズするのかを聞いたの。それで一が言ったことをそのまま涼葉ちゃんに教えてあげただけだよ!」
なんの悪びれもなく満面の笑みで隆介に言う。
「お前、さすがにやってることえぐくないか?」
さすがに夫でも擁護できなかったらしく少し引いた眼で柚木を見ていた。
「まあまあ一君落ち着いて?私が聞いたから教えてくれたんだしその辺にね?」
涼葉に言われたらしょうがない。ここまでにしておくか。
「そもそも、今まで全くプロポーズしない一も悪いんだよ!」
柚木は一にとって耳の痛い話をし始める。
「く、」
「やめろ柚木。一がダメージを受けてる。」
すかさず隆介がフォローに入るがどうやら遅かったようだ。
「まあ、気を取り直して二人とも今日は楽しんでいってくれ!」
隆介がそういうとささやかな宴が二人の家で執り行われるのだった。
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