これから始まるありえなかったはずの物語

第54話 これから

「はぁ。これで終わったんだよ、な?」


俺はその場に座り込んで一息ついていた。

少し腕から血がしたたり落ちているが、まだ大丈夫なほうだろう。

頬からも血は流れて入るがそこまで深くないのかもう止まりつつある。


それから少ししてパトカーのサイレンが聞こえてきてすぐに警察が到着する。

どうやら隆介が通報してくれたらしい。

そのまま太陽たちは警察に連行され俺と隆介、柚木と涼葉は警察から事情聴取を受けその日は解散となった。


あれから、柚木と隆介にはかなりお礼を言われ、涼葉は先に帰ったそうだ。


「無事でよかったな。」


柚木にそういって立ち去ろうとしたんだが、腕をつかまれそのまま病院に連行された


幸い傷は深いものではなく包帯を巻かれただけで終わった。


「全く。怪我したらちゃんと病院行かないとだめでしょ!」


そう言って柚木は怒ってくる。


(いや、でもかすり傷だったし)


「ほんとだよ。てか、お前よくあの人数を一人で相手にできたな。」


「ああ、話せば長くなるんだけどな。すず、いや月風さんの件と一緒に話すことにするよ。」


「ん?ああ、わかった。」


「ほんとにありがとね!一。」


「全然いいって、あと、結婚式は呼べよ~」


「お、おま、」


「ちょっと一。」


照れる隆介とプンプンと怒る柚木の声が聞こえてきたが無視することにする。

そんな声を背中に浴びながら帰路を辿ることにした。


あれから数週間が経った。

どうやらあいつらの余罪も明らかになり今は裁判になっている。

他にもさまざまの余罪が見つかったためかなり罪は重くなりそうだ。


ニュースを見たところ数人殺していたらしい。

この事が明るみになったため世間では話題になるとともにそれは一人で壊滅させてしまった誰かさんも有名人になりつつあるようだった。

幸いなことにその人が俺だとはまだバレていないため平穏な日常を過ごせているわけだが、いつ平穏が壊されるか溜まったもんじゃない。

絶対にばれないようにしなくては。


俺はある人物をとある場所に呼び出していた。


少し気候が夏寄りになってきた。

まだ、気持ちよく感じるそよ風を全身に感じて俺はその人物がここにやってくるのを今か今かと待ちわびている。


あれから体感結構な時間が経っているため、話すのが楽しみで仕方がない。

彼女はどんな反応をするんだろか?

喜んでくれるんだろうか?

それとも困惑するのだろうか。


でも、正直あんなメッセージを残したくせに結局生きてるとなるとなんだかこっちが恥ずかしくなってくるな。

でも、今の体なら昔俺が言いたくても言えなくて飲み込んだ言葉を吐き出すことができるはずだ。


夏寄りになったためこの木には昔のように満開の桜があるわけではない。

どちらかというと葉桜になって緑を帯びた木の下で俺は彼女が来るのを待っていた。

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