第46話 隆介の悩み
とりあえず、着替えて家を出る。
何も変わらない日常。
電車に乗って大学に向かう。
変わらないからこそいいものがあるんだろうが、やはり少し退屈に感じてしまう。
「はぁ」
思わずため息が出てしまう。
電車のアナウンスが流れ扉が開く。
いつも通りの道のりを進み電車を乗り換えまた少し暇になる。
そう言えば、月風さんのこと隆介たちになんて説明しようか。
正直月風さんから聞いた通りの話をしても信じてもらえるか、
いや、信じてはくれるんだろうけど。
あいつはそういう奴だからな。
でも、今度しっかり考えないとな。
そんなことを考えていると、電車は大学の最寄り駅に到着した。
電車を降り徒歩数分
俺の通っている大学に到着する。
「今日も一日頑張りますか。」
「一。お前ひとりで何言ってんだよ。」
「ああ。隆介か。おはよう。」
「ああ。おはよう。」
隆介とは受けている講義が一緒なのでいつも大学で過ごしている。
「そういや一、この前話してた運命の人うんぬんかんぬんはどうなったんだ?」
「あーその話か。話そうとは思ってたんだけどさ、今度紹介するよ。」
「紹介?なんだお前ら付き合ったのか?」
「いや、それは違うんだが説明するとややこしいから今度柚木も読んで説明するよ。」
「ああ。わかった。また連絡してくれよ。」
そう言ってにっと笑う隆介
「そういうお前こそ最近柚木とはどうなんだよ?」
「ああ?今でも仲良く過ごしてるよ。」
「だろうな。お前たちが喧嘩してる姿なんて想像できないし。」
実際この二人は付き合ってから一度も喧嘩をしていないのだ。
もしかしたら裏でしているのかもしれないが今のところ二人から険悪な雰囲気を感じたことは無いしなんなら会うたびに惚気を聞かされている気さえする。
まあ、親友と幼馴染が仲睦まじいのはとてもいいことなんだが。
「じゃあ、そろそろ行くか!講義に遅れちまう。」
「そうだな。また日時は教えてくれよ一。お前の運命の人とやらが気になるんでな。」
そうして今日も何の滞りなく講義が終わり久しぶりに隆介と一緒に帰ることになった。
「お前と帰るなんていつぶりだよ?一。」
「お前がそれを言うのか?いっつも柚木と帰ってるから俺が一緒に帰れないだろうが。」
そういって俺は苦笑をこぼす。
「でも、なんで今日は柚木と一緒じゃなかったんだ?いつも一緒に帰ってたのに。」
そうなのだ。実際隆介と柚木はいつも一緒に帰っていたのに今日はどうやら一緒じゃなかったらしい。
「ああ。そのことなんだけどさ、一つお前に相談があるんだ。」
めずらしい。隆介からの相談なんて高校の時の柚木と付き合う時の相談以来じゃないだろうか?
「いいぜ。お前からの相談なんて久しぶりだしいったいどんなものなんだ?」
俺がそういって隆介に問いをなげると、
今まであまり見たこともない表情で告げる。
「最近柚木がストーカーの被害にあってるらしいんだ。」
その言葉を俺は少しの間
理解できずにいた。
いや、理解はできた。
だが、前にも似たような事件があったような気がする。
それも、俺が深くかかわっていたように思う。
だが、詳細は何も思い出せない。
思い出そうとすればするほど頭痛がひどくなる。
(なんなんだよ、一体)
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