第28話 私の思い サクラ

私はリーナさんから転生者としての

莉奈さんとリーナさんの話を聞きました。


私の生まれた里も特殊で本来であれば

外部に話せない事も沢山あります


ただ本人に自覚はあまり無いようですが

リーナさんがこの世界の女神の使徒と分かりましたので

将来的に里を継ぐ長となる私も

リーナさんに聞かれて隠し事をする訳には行きません。

我が里が女神様の意思に反する訳には行かないのです。


私の里は、女神様から召喚された勇者と

聖女でもあったシュタイン王国の王女が結婚して起こした隠れ里です。


本家の娘でもあり、

勇者の血を継ぐ黒髪の私が時代の里の長になる事は

私が幼い頃から決まってました。


問題はその伴侶となる夫の選定です。


そこまで大きな里ではありませんので

私の伴侶となる年頃の子供も少なく

資質で言えば間違いなく現在第一王女側近見習いのシドでした。


消去法の様にとられてしまうかも知れませんが

シドは歴代の里の男の中でも勇者様を抜かせば

トップクラスに優秀だそうです。

私の父にしてそこまで言われる才がありました。


ただ問題として、血が近すぎたのです。

シドは私の父の弟の子です。


我が里は嫌な話ですが

勇者の血脈として血の管理をしてきました。


また容姿も良く本家の私を娶りたい者も何人かいて

かなり強い横槍が入ったのです。

(私と同年代の娘にパッとしない娘が多かったのもあったので)


私とシドもお互いに淡い想いはありましたし、

勇者の髪色の私と聖女の髪色のシドであれば

遺伝的にも今代で多少無理しても問題がないと

婚姻は、ほぼ決まる直前まで来ていたのです。


その時に第一王子のルイ様がやらかしてしまい

リーナさんとの婚約が白紙となってしまったのです。


単純に婚約が破棄されただけならば

問題は無かったのですが

我が国で王家より力のあるクラウド公爵家の面々を怒らせてしまいました。


そうなると、第一王子が王太子になった場合に

まともな国内での婚姻相手も無く

城内家臣の信頼も得られないでしょう。

かと言って外国の婚姻が出来る器もありませんでした。


子煩悩な国王陛下が考えた苦肉の策が

第一王女殿下を女王として、

王配にアーク王子を選んで国の運営をまかせる

器量も才もあり王族の血を引く私に王子を丸投げにする

私にとっては良い迷惑です。


ただ血の管理の観点からは

過去にも里外の王族の血を取り込んでいましたし

直近ではありませんでしたので

また里が揉めました。


シドのお父様も流石に不味いと思ったのか

クラウド公爵家からの依頼に答えて

シドが名乗り出る様に言い渡したみたいです。


ですが勇者の血を引く私を女神様は見捨てませんでした。

先日の王国誕生祭の事件で

我が里もようやく今の王族に見切りをつけました。


さて、こんな可憐で一途な私を

不良債権に押し付け様としたシドが先日里に戻って来た時は最高でした。


あのシドが私に一言も言い返せずに、

目の前でぶらぶらと婚姻届けをぶら下げたら

喜んでプロポーズをしてきましたよ。


ただ今回のリーナさんの存在があの時点では不明でしたので

諸々の手続きは保留となっていましたが


我が里の懸念点は解消されましたので

クラウド公爵家とのすり合わせ位ですね、

第一王子をどう扱うかはクラウド家に丸投げします


私的に花嫁衣装だけは早めに着たいのですよ


あ、ちなみに醤油はありますが、

ソースとやらはありませんよ。

ちょっとリーナさんが可愛いかったので

少しだけ意地悪をしてしまったので

お米と一緒に近日中に届けさせます。


女神ポイントとかが関係するので

米と醤油を広めて良いかと聞かれたので

別段広げるつもりはありませんが

里の存在がバレないなら広げても問題ありません



出どころを探られたら、

困った時のアーク様の名前を出せば

大抵黙りますよとアドバイスもしておきました。

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