第6話 さば折りも抱き締めながら折るのよ、まるで愛しむ様に〜

正直なところ王子様だってお年頃

本日のお見合い相手は公爵家の聖女の女の子

抱きしめれば折れてしまうか弱い女の子を想像しても仕方がない


でも相撲の決め技のさば折りも抱きしめながら折るのよ

理想とは違う現実があっても仕方がない


二人の初めての顔合わせ、開放感があって手伸ばせばお花に触れられるくらいの

美しい王城の中の庭園に二人のお見合いのテーブルは設けられた。


王子様はイケオヤのお父様と同じく金色の髪にブラウンの瞳

私の髪と瞳も同じ様な色合いで、瞳だけは母親の血を少し受け継いだのか

金色にやや赤みを帯びた綺麗な琥珀色の瞳

私のお母様以外はキンキラキンの家族が集合する予定だった


王族も我が公爵家も建国当初からの一族が多いので同じ様な容姿になるのは仕方がない

お母様だけはこの国の生まれでは無く別の国の生まれである


ちなみにお母様は、気品高く際立った容姿だったが、

とにかく使う魔法がど派手で瓦礫の山に伸ばした赤い髪で立つ姿は

普通の人では近づくのも恐れられる、美しくも恐れられる炎氷の大魔道士


この世界は、火、風、土、水の四属性が基本魔法とされ、

雷や氷は特異魔法に分類されるらしい


複数の属性魔法を使える魔法使いはいるにはいるが

火と氷の魔法を使えるのは、この国では私のお母様くらいしかいないのではないだろうか。


とどのつまり温度なんて分子のエネルギー量の違いだけなのに

エロい人には、それが分からんとですよと聞いたことがある様なない様な

文系一筋の私には分からない、生物?何それ、生もの?ちゃんと火を通さないと食中毒になるよ

そんなレベルに理数系が苦手な私に分子とか言われても分からんですたい



性格は本来可愛いのに見た目で損しているお母様は、

お父様にチョロっと口説かれただけで落ちてしまう可愛い人だったらしい

まあその後に照れ隠しでお父様にブッパなった魔法は可愛いとかのレベルでは無く

新婚になる前に未婚になってしまうところだったみたいだけど

命紅って意味が違うがな、紅い糸や燃やしてどうする!


期待を胸にテーブルについて私を待っている王子様、満を持して私の到着

王子様的には力士の土俵入りに見えたのだろうか

さぁ、土俵に上がり四股を踏んでやるぜ、こんちくしょう!!


王子様は、私を見た瞬間に

『こんなデカイ女と婚約するのは絶対嫌だ!!』と叫んで

一目散に走り去った。


あれ、書類上は婚約成立してるんだっけ?

私を逃したくない国王陛下が勇足で早まってない事を祈るばかりだ


残された私は、その場でギャン泣きした


言い訳をさせて下さい。


当時のリーナちゃんは、そこまで太ってませんでした。

小さい頃は、女の子の方が成長も早く

駄女神様のせいで料理の味付けも、油でこってこての料理が多く

トテトテ裕福な家に生まれて、私に溺愛していた母や兄様の餌付けにも極力抵抗して頑張ってたんだ


だけどこの日を境に、私の歯止めがなくなり、

色白なガチョピンが生まれて行くのであった(号泣)

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