名の無き手帳

須臾 優

大罪の始まり

嗚呼、私はきっと大罪人だと誰もが言うでしょう。

 親を殺すなどなんて親不孝な人間なのだと言うでしょう。

  それで合っているのでしょうきっとそうなのでしょう。

   社会とはそういうものなのですから仕方ないのです。

    全て私が悪いのは間違いないのですから良いのです。


  これは私の懺悔の話でも後悔の話でもありません。 

  ただそういった事実があっただけなのです。

  哀れな人があったわけでもありません。

  可哀想な人がいたわけでもありません。

  ただ狂ってしまっただけなのです。

  人間のフリをするしかなかったのです。

  私はきっと人間ではなかったのですから。




−始まり−


私は日記を書くことにしました。小説を書きたいと思うのならば先ずは自分のを事を書いてみようと思ったのです。

だからこれは日記に似た何かなのでしょう。

似て非なるものです。

私はきっと幸せな子供なのでしょう。特に問題も無く生まれ育ったのですから。日本と言う平和な国に生まれ落ち母も父も居ます。家もある、友達もある、娯楽もある程度あります。恵まれているのです。自分で言うのもあれですが勉強も運動も、大体のことは一般人程度にできます。強いて言うのなら踊る事と泳ぐことが少し苦手なくらいです。その上練習すれば出来る程度の苦手な事です。他人と関わることも苦ではありません。普通な子供だからです。

普通では無くとも異常ではないはずですから。

今日は高校の入学式でした。

桜は花開き美しく散っている中での式でした。

今年は入学者が過去一番だったらしく体育館は少し窮屈でした。それでも期待を抱いて皆式場へ入場し入学したのです。

途中で緊張の為か倒れてしまった生徒は居ましたが無事式は終わり、クラス発表の指示に従い教室に向かいました。

担任が自己紹介をし名簿順に名前が呼ばれていくのです。皆自分が呼ばれ返事をするのをそわそわとしながら待っているのは少し面白い光景でした。どんな名前の人が居るのか、知り合いはいるのか、と。

私もどんな人が居るのか楽しみながら自分の番を待ちました。番号は後ろの方だったので少し緊張しましたが無事きちんと返事も出来ました。流石に声が裏返ってしまう人はいませんでしたけれど。

なんとも普通の景色、これからの生活に皆夢を膨らせている光景。微笑ましいものです。

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