第4話 謎の少女との出会い

「魔王?」


 少女は俺に言った発言で、バツが悪そうな顔をしていた。

 この俺が魔王か……。


「貴様、クロム様を魔王呼ばわりとはなんだ!?」


 セロスは右手をかざし、少女に向かって声を荒げる。

 セロス、少女の言葉次第では攻撃をするな。

 元々この世界に復讐をする気で、大量の死人が出る。

 そのくらい元々計算内だから、全く問題はない。

 少女は口を開いた。


「白く光る銀色の髪に、真っ赤な真紅の瞳を持つ少年。貴方は私の夢に出て来た」

「夢?」

「はい、。それが貴方なんですよ、レイ先輩!」

「!?」


 こいつどうして俺の生前の名前を?! それより先輩と呼んだ。

 俺はこんな少女と、出会った記憶なんて一切ない。

 それなのに先輩呼ばわり──この少女には色々と、聞かないといけない事が多い。


「クロム様、この女を氷漬けにしますか?」

「待って、お前には色々と聞きたい事がある。俺達と一緒に来て貰おうか」


 少女に手を差し出した時、背後から不気味な気配を感じ、セロスを突き飛ばす。


「え? なんで」

「いたっ、いきなり何をするんですか。ク、クロム様!?」

「ちっ、一体なんだこれは?」


 腹部と両腕に損傷、一体何で傷を付けられた? 刃物だとしても得物がない。

 もし刃物で切られたとしたら、俺が防御も出来ず、相手を見逃す。

 そんな事ある筈がない。

 異世界の住人ならば、まだしも現代人ではできない。


「レイ先輩、貴方のお誘いはお断りします」

「貴様、クロム様に向かって」


 少女は俺に告げ、走り去っていた。

 セロスが再び構えるから、それに待ったを掛ける。


「クロム様よかったんですか? 逃して」

「少し手掛かりな事があるからな」


 ここで無闇にあの少女を、追い掛けても仕方ない。

 少し情報を整理をしたい。

 と、思った時、聞き覚えのある──間抜けな声が聞こえてくる。


「おーいクロム様!」


 声の方に目をやると、クリスが武装した人間に追い掛けられていた。

 それを見た──俺とセロスは、魔法を使い移動をする。

 クリスは驚愕な表情をしていた。


「ク、クロム様!?」


 クリスの悲鳴に近い、叫び声が最後に聞こえた。


「ここは一体どこですか?」

「知らん」


 魔法で移動した事により、何処かの知らぬ場所に転移をしてしまう。

 周りを確認すると、家具とかも一切なく、少し広く壁と床がコンクリで、できている。


「あのクリス大丈夫ですかね?」

「知らん、彼奴は生粋の戦闘狂だから、あの程度の武装集団大丈夫だろ」

「確かにそうですね」

「セロス、後は好きにしろ」


 俺はセロスを後にし部屋の模索をした。

 そこで洗面台のある場所を見つけ、コートを脱いで、傷を確認する。


「見た事のない傷だ」


 刃傷でもなく銃傷でもない。

 全く意味がわからない傷がある。

 これ以上深く、考えても埒が明かないと、思い再び部屋を模索し始める。


「ここはなんだ? 何かの家なのか? それにしては牢屋に近いぞ」


 俺達が飛んできた場所、そこにある部屋の構図は分かった。

 部屋は合計で四つの二階建て、それの全てが牢獄に近い。


「唯一の救いはパソコンがあり、ネットが繋がってる事だな」


 とは言え、俺パソコンなんて、何年も操作してないから覚えてるかな? 少し自信なさげだったが、何とか操作ができた。


「辛うじて操作は出来た。さてと一体このパソコンで何を調べるかな?」


 パソコンを付けたのはいいが、目的は一切なくただ電源を付けたに過ぎない。

 今の世間帯の情報を調べ、少し整理をしよう。


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